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『映画に溺れて』第72回 新・猿の惑星

第72回 新・猿の惑星

昭和四十六年八月(1971)
大阪 難波 南街劇場

 

猿の惑星』は大ヒットとなり、次々と続編が作られた。私は『続・猿の惑星』だけは深夜TVでの鑑賞だが、あとはティム・バートン版も新シリーズもすべて劇場で観ている。
 第三作の『新・猿の惑星』は第一作でロディ・マクドゥールとキム・ハンターが演じたチンパンジーの科学者夫婦が主役である。
 現代のアメリカに宇宙船が戻ってくる。扉が開き、宇宙服を着た三人の人物。出迎えの兵士が敬礼する中で、ヘルメットを取ると、そこには猿の顔が。
 未来の地球が最終兵器の爆発で消滅する寸前、テイラーの乗ってきた宇宙船を修理し、三匹のチンパンジー科学者が脱出、一九七〇年代の地球にやってきたのだ。
 最初の宇宙船は時空を超えて未来へ行ったのではない。長い時間をかけて宇宙空間を移動し、その間、飛行士は人工冬眠状態にあった。だが、今回は同じ宇宙船が過去へとタイムスリップする。いったいどういうわけか。などと考え込んではいけない。そういう話なのだ。そこさえ目をつぶれば、先へ進める。
 三匹のチンパンジーは、現代のアメリカで苦難にあう。テイラーたちが『猿の惑星』第一作で逃げ回ったように。
 やがて、チンパンジーの夫婦に赤ん坊が生まれるが、アメリカ人科学者は、この猿が人類の未来にとって危険だというので、抹殺しようとする。
 そして次の『猿の惑星征服』『最後の猿の惑星』へと物語は続くのだ。正直言って、だんだんつまらなくなっていく。
 未来から来た知的な猿が生んだ子猿が、将来の地球を猿の世界に変えてしまう。そこへテイラーたちが不時着し、地球は滅び、その寸前にチンパンジーの科学者夫婦が脱出、過去へとタイムスリップする。時間の繰り返しで、話が発展しない。
 メイキャップだけはすごかったけれど。

 

新・猿の惑星/Escape from the Planet of the Apes
1971 アメリカ/公開1971
監督:ドン・テイラー
出演:ロディ・マクドウォール、キム・ハンター、ブラッドフォード・ディルマン、エリック・ブリーデン、ナタリー・トランディ、サル・ミネオ、ウィリアム・ウィンダム