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『映画に溺れて』第148回 大当り三代記

第148回 大当り三代記

平成八年八月(1996)
大井 大井武蔵野館

 懐かしい大阪の喜劇人や漫才師、特に私が子供の頃の人気者たちが次々に登場する。脚本が花登筐。
 明治、大正、昭和と三代にわたる饅頭屋の確執。
 明治時代、大阪の老舗の大旦那渋谷天外が、ふたりの番頭に店をのれん分けする。これが曾我廼家明蝶曾我廼家五郎八。
 道頓堀に向いあって開店し、一方は本家、一方は元祖を名乗る。ふたりは当然ながら犬猿の仲で商売は熾烈を極める。そこで大旦那の天外が提案する。先に子供の生まれた方を残して、もう一軒は財産をすべて一方に没収。そこで五郎八は芸者ミヤコ蝶々を囲うことになる。妻にそうするように言われ、辞退しようとしながらも、顔がほころぶところが上手い。
 やがて大正となると、本家を継いだ藤山寛美と元祖を継いだ芦屋雁之助との対立。道頓堀では元祖が羽振りを利かせ、本家は路地裏に引っ込んで饅頭の行商をしているが、元祖の跡取りが放蕩の果て、本家に敗れる。
 戦争中は元祖が戦地で手柄を立てて、勢いを盛り返す。一方が上昇すると、一方が下降し、また逆転するという展開が繰り返される。
 そして月日は流れて昭和の現在、両家の息子と娘が惹かれあうというロミオとジュリエット風に進み、めでたしめでたし。

 

大当り三代記
1961
監督:的井邦雄
出演:藤山寛美芦屋雁之助渋谷天外曾我廼家明蝶曾我廼家五郎八、ミヤコ蝶々南都雄二嵯峨美智子浪花千栄子、ミスワカサ・島ひろし、大村崑桑野みゆき、環三千世、三上真一郎牧紀子中田ダイマル・ラケット芦屋小雁かしまし娘フランク永井