『映画に溺れて』第263回 あなたが寝てる間に

第263回 あなたが寝てる間に

平成八年四月（１９９６）
池袋　文芸坐

　クリスマスには奇跡が起こり、みんなが優しい気持ちになって、しあわせが訪れる。そんなクリスマスストーリーがたくさん作られているが、サンドラ・ブロック主演のラブコメディ『あなたが寝てる間に』はなかなかの佳作。
　ルーシーは駅の改札係。独身で安アパート暮らし。恋人もなく、毎日電車に乗るハンサムな青年に片思い。声をかけることもなく、ただ見ているだけ。
　同僚に代わってクリスマスに出勤するが、その日、チンピラに絡まれて件のハンサム青年が線路に転落。電車が来る直前にルーシーが命がけでこれを助ける。
　青年は頭を打って意識不明のまま。心配で病院に行くと、看護士が彼女をフィアンセと誤解し病室に通す。そこへ青年の家族がどやどやとやって来て、息子を命がけで救った婚約者に感謝する。
　父親は中古家具を売買する商売。昏睡中の長男ピーターは家を出て弁護士になっていて、次男のジャックが父の仕事を手伝っている。
　ピーターが昏睡のまま、ルーシーは彼の婚約者として次第に家族と親しくなり、自分が口を利いた事もない赤の他人だとは言い出せない。そのうち、彼女は次男のジャックとお互い心を通わせるが、彼は兄の婚約者に思いを寄せることを悩む。
　やがてピーターが意識を取り戻す日がくる。だが、毎朝通る駅の改札係を彼は全然覚えておらず、彼女が誰かわからない。頭を強く打ったせいで記憶が不完全だと言われ、家族ぐるみで仲良くなっている自分の婚約者らしき女性にだんだん気持ちが傾いて……。
　次男のビル・プルマン、長男のピーター・ギャラガー、父親のピーター・ボイル、三人とも私の大好きな傍役俳優である。

あなたが寝てる間に／While You Were Sleeping
１９９５　アメリカ／公開１９９５
監督：ジョン・タートルトープ
出演：サンドラ・ブロック、ビル・プルマン、ピーター・ギャラガー、ピーター・ボイル、ジャック・ウォーデン