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『映画に溺れて』第321回 シェーン

平成二十四年十一月(2012)
日比谷 TOHOシネマズみゆき座

 

 私は基本的には映画館(試写室も含む)でしか映画を観ないので、なかなか昔の名作にはありつけない。だからTOHOシネマズの午前十時の映画祭は大変ありがたく、そのうちの一本が『シェーン』だった。これぞ、古き良き時代の西部劇の代表であろう。
 西部で妻と幼い息子と三人で小さな牧場を営む善良な牧場主ジョー。そこへひとりの流れ者がやって来て世話になる。男の名はシェーン。
 近隣の大地主であるライカーは、新参の開拓民である農夫や牧場主を追い出し、土地を取り上げようとして、いろいろといやがらせをする。牛の大群をけしかけて畑を荒したり、小屋に火をつけたり。
 シェーンは実は凄腕の早撃ちガンマンで、親切なジョー一家への恩義から、ライカー一味と対決することに。
 ライカーは黒ずくめの殺し屋ガンマンを雇い、開拓民のリーダーであるジョーを片付ける悪巧み。罠と知って話し合いに出かけようとするジョーを殴り倒し、シェーンがひとり立ち向かう。
 主演のアラン・ラッド、誠実そうな甘い二枚目で、凄腕のガンマン。ジョーの奥さんのジーン・アーサーは戦前からの美人スター。黒ずくめの悪役ジャック・パランスも渋くて、晩年は『スリースティッカーズ』の老カウボーイだった。
 酒場で最初にシェーンに因縁をつける男クリス。ライカーの手下だが、最後はボスの悪巧みに嫌気がさして、シェーンのところに忠告に来るという儲け役。演じるベン・ジョンソンは西部劇でよく脇役を演じており、現代劇では私が大好きな『ラストショー』の老カウボーイでもある。
 主題曲は有名な『遥かなる山の呼び声』で、山田洋次監督が北海道を舞台に高倉健主演で撮った映画がこのタイトル。

シェーン/Shane
1953 アメリカ/公開1953
監督:ジョージ・スティーヴンス
出演:アラン・ラッド、ジーン・アーサーヴァン・ヘフリン、ブランドン・デ・ワイルド、ジャック・パランスベン・ジョンソン、エライシャ・クック・ジュニア