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『映画に溺れて』第348回 ブレードランナー

第348回 ブレードランナー

昭和六十三年八月(1988)
三鷹 三鷹オスカー

 

 環境破壊の進んだ未来。人間そっくりに作られた労働用のアンドロイドがレプリカント。アンドロイドには人間よりも強い体力が与えられているが、寿命がプログラムされているので長生きはできない。
 過酷な労働から逃走し人間世界に紛れ込んでいるレプリカントを見つけ出し、狩りとる特殊任務を帯びた捜査官がブレードランナーである。
 未来のアメリカは無国籍社会を思わせ、漢字や日本語文字があちこちに散らばり、邦楽を思わせるBGMが流れる。
 レプリカントには架空の記憶が植付けられており、人間としての感情さえ持っている。人間でないとはいえ、さほど凶悪でもなく、人間そっくりの感情を持つ者を、バンバン殺していくのはすっきりせず、終始重苦しい空気が流れる。
 原作はフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか
 偽の記憶を植え付けられ、外見もまったく人間と同じで、自分を本当の人間だと思い込んでいるアンドロイドは、はたして人間とどこが違うのか。
 現実の世界では、人間そっくりのロボットは今もって開発されていないが、環境破壊の暗い未来というのは、だんだん本格化しつつある。
 最初の場面で、いきなり巨大なビルに映写された和服東洋人女性のコマーシャルに「強力わかもと」と日本語が出たのは驚いた。まるで現実の渋谷ではないか。
スターウォーズ』や『レイダース』と並ぶハリソン・フォードの代表作である。

 

ブレードランナーBlade Runner
1982 アメリカ/公開1982
監督:リドリー・スコット
出演:ハリソン・フォードルトガー・ハウアーショーン・ヤングエドワード・ジェームズ・オルモス、M・エメット・ウォルシュ、ダリル・ハンナウィルアム・サンダーソンブライオン・ジェームズ、ジョセフ・ターケル、ジョアンナ・キャシディ