日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

「映画に溺れて」第14回 ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃

第14回 ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃

平成十四年一月(2002)
新所沢 レッツシネパーク

 

 うちの子供たちが幼い頃、『とっとこハム太郎』というTVアニメが大好きで、それが劇場用映画になった。観たいというので、連れていった。ハムスターを擬人化した幼児向きのアニメーションだ。二本立てのもう一本が『ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃』だった。私はゴジラハム太郎もまったく期待していなかった。あの当時、何本かゴジラ映画を観ていたが、どれも大変つまらなかったのだ。


 ところが、金子修介監督は、大人の鑑賞に耐えるゴジラを作った。これは昭和五十四年のゴジラ第一作の続編であり、その間に作られた諸々をすべて無視している。ゴジラの襲撃から五十年経ち、日本は繁栄を誇っているが、世紀末にはアメリカをゴジラに似た怪獣が襲い、日本の識者の間ではあれはゴジラとは認められていないが、再び、日本にも怪獣が訪れる可能性も出てきた。(このあたりは当時のハリウッド版ゴジラが駄作で不評だったことを皮肉っている)


 宇崎竜童扮する国防軍の司令官は少年の頃、ゴジラの襲撃で両親を亡くしている。五十年前のゴジラは、軍の力で退治したとされているが、実際にはひとりの科学者が作った化学薬品によって滅んでいた。軍の権威を守るため、その事実は隠蔽されている。(第一作の平田昭彦、芹沢博士のエピソード)
 日本を再びゴジラが襲い、国土を守るための三体の聖獣が甦ってゴジラと戦う。それがモスラ、バラゴン、キングギドラ。このあたりが過去の怪獣対決のパロディ。
 よくできているのが、怪獣災害のリアリズム。怪獣被害に遇う端役ともいうべき人たちをベテラン俳優が演じて恐怖を強調する。怪獣の記念撮影をしようとして潰される人。ヘリコプターで取材中にとばっちりで炎上する記者。などなど。
 我が家の子供たちも、このゴジラ映画には大喜びであった。私も第一作に次いで、このゴジラが好きである。

 

ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃
2001
監督:金子修介
出演:新山千春、宇崎竜童、小林正寛天本英世佐野史郎