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『映画に溺れて』第198回 殿方ご免遊ばせ

第198回 殿方ご免遊ばせ

平成二十二年十二月(2010)
六本木 シネマート六本木

 

 バルドーの主演作を初めて映画館で観たのは一九七〇年代の初め、『華麗なる対決』というフランス製のコメディ西部劇だった。マイケル・J・ポラードの保安官以外は、住民が全員フランス系移民という西部の町で、バルドーは列車強盗の首領。四人のセクシーな妹たちを従えて、強盗稼業に精を出し、もう一組のならず者の首領、四人の弟を従えたクラウディア・カルディナーレと対決する。バルドー作品は数多いが、『華麗なる対決』は最後のほうで、その後、新作を映画館で観る機会はなくなった。
 いや、旧作さえ、バルドーの映画、なかなか映画館では観られない。今や家庭には大型TV、様々なソフトが充実し、インターネットでも観ることができる。劇場での古い映画の上映は興行的には難しいのだろうか。
『殿方ご免遊ばせ』は六本木シネマートでのバルドー特集で観ることができて、とてもうれしかった。スクリーンには一九五〇年代の小悪魔といわれた若きブリジット・バルドーが。ああ、美しい。
 フランス大統領の娘ブリジット。父の秘書官ミシェルに恋して、追っかけまわし、とうとう結婚となるのだが、ミシェルはかなりの放蕩者。
 ブリジットは夫の気を引くために浮気を宣言するが、彼は本気にしない。そこで、パーティで最初に前を横切った男と浮気することに。冴えないボーイが横切ろうとして、あわやと思うと、手前で引き返し、次に横切ったのがたまたま国賓でやって来た某国のシャルル大公殿下。彼女は殿下に近づいて、とうとう軍用機でデートする仲に。
 ミシェルは気になって、ほんとうに妻がシャルル大公とデートしたのか確かめようと大使館に出向くのだが……。
 おおらかな時代の古風なコメディ。観ている間、ひたすら気持ちがよく、バルドーの可憐さを堪能できた。

 

殿方ご免遊ばせ/Une Parisienne
1957 フランス/公開1957
監督:ミシェル・ボワロン
出演:ブリジット・バルドーシャルル・ボワイエ、アンリ・ヴィダル、アンドレ・リュゲ、ナディア・グレイ