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『映画に溺れて』第203回 リメンバー・ミー

第203回 リメンバー・ミー

平成三十年十月(2018)
飯田橋 ギンレイホール

 

 骸骨の扮装で人々が踊るメキシコの祭「死者の日」が題材の、ピクサー製作のディズニーアニメ。
 音楽家を目指した曽曽祖父が家族を捨てて家を出て以来、曽曽祖母靴屋を創業し、代々一族はいっさいの音楽を禁じられている。
 少年ミゲルはそんな家庭で育ちながら、曽曽祖父の血を引いて大の音楽好き。いつか尊敬する音楽史に輝く大スター、デラクルスのようになりたいと思っている。
 家族に内緒で死者の日の音楽コンテストに出ようとして見つかり、祖母にギターを壊される。そこで、デラクルスの聖廟に忍び込み、祭壇のギターを拝借しようとして、この伝説の歌手こそがかつて家族を捨てた曽曽祖父だと確信する。
 デラクルスのギターをかき鳴らした瞬間にマリーゴールドの花びらが舞い、死者と生者との境界に落ちこみ、生きたまま死者の側へ迷い込んでしまう。
 元に戻るには日の出までに死んだ家族の許しを得なければならない。
 死者は現世で忘れられると死者の国からも消えてなくなる。ミゲルは消滅寸前の死者ヘクターに出会い、いっしょにデラクルスに会いに行くが。
 うまく伝えられない思いも、歌でなら伝えられる。ラテン音楽の魅力、家族愛、スリルとサスペンス。デラクルスとヘクターの関係に物語の秘密があり。
 伝説のアーティスト、フリーダ・カーロも死者の国では現役で活躍。
 天国も地獄もなく、死者たちは歌って踊って楽しく暮らしている。こんなあの世なら、死ぬのも怖くない。原題の「ココ」はミゲルの曽祖母の名前。

 

リメンバー・ミー/Coco
2017 アメリカ/公開2018
監督:リー・アンクリッチ
アニメーション(声)アンソニー・ゴンザレス、ガエル・ガルシア・ベルナル