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『映画に溺れて』第326回 続・荒野の用心棒

第326回 続・荒野の用心棒

令和元年十二月(2019)
渋谷 映画美学校試写室

 セルジオ・レオーネと並ぶマカロニウエスタンの名手、セルジオ・コルブッチ監督作品。日本タイトルは『続・荒野の用心棒』だが、クリント・イーストウッドの『荒野の用心棒』の続編ではない。主演はフランコ・ネロ。原題は『Django(ジャンゴ)』
 荒野のぬかるみを棺桶を引っぱって歩く男。
 それに被せて有名な主題歌『ジャンゴ』が流れる。この曲はタランティーノが同名の自作西部劇でも主題歌として使っているし、三池崇監督の『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』では、北島三郎が日本語で演歌風に歌っている。
 野外でメキシコ人たちからリンチされる白人の娼婦。そこへ数人のガンマンが現れ、メキシコ人たちを射殺。女を助けるのかと思うと、今度は女を焼き殺そうとするではないか。これを脇から助けるのが棺桶の男で、あっという間に早撃ちで男たちを皆殺し。という導入部だけで、わくわくする。
 棺桶の男ジャンゴは救った娼婦とともに町へ。元南軍の少佐率いる無法者集団と、山賊まがいのメキシコ独立運動一味が町を挟んで対立。悪党の二大勢力の間に流れ者が入り込むという設定は『用心棒』に近い。なので邦題もあながち無茶ではないと思われる。
 娼婦を救うためにジャンゴが殺した男たちは少佐の手先だった。そのため、仕返しに無法者数名が町へやってくる。が、あっけなくジャンゴにやっつけられ、今度はさら全軍で。
 ここで、ジャンゴの棺桶の秘密が。
 コルブッチ監督は数多くのマカロニウエスタンを撮り続けた。タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではレオナルド・ディカプリオふんする落ち目のTVスターが、再起をはかるためイタリアで西部劇に出るのだが、その監督がセルジオ・コルブッチという設定だった。

続・荒野の用心棒/Django
1966 イタリア/公開1966
監督:セルジオ・コルブッチ
出演:フランコ・ネロ、ロレダーナ・ヌシアク、エドアルド・ファヤルド、ホセ・ボダロ、アンヘルアルバレスジーノ・ペルニーチェ