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『映画に溺れて』第331回 ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密

第331回 ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密

令和二年一月(2020)
築地 松竹試写室

 豪邸に住む高齢の大富豪が毒殺される。莫大な財産をだれが相続するのか。現場に乗り込み、家族ひとりひとりに事情を聴く探偵。みんな怪しい。そこで意外な犯人が。というのがアガサ・クリスティ原作の映画『ねじれた家』である。
 その翌年、ほぼ同様の内容ながら、ユーモアたっぷりに描かれたクリスティのパロディを思わせる『ナイブズ・アウト』が公開された。
 大富豪であり世界的ベストセラー作家でもあるハーラン・スロンビーが八十五歳の誕生パーティの翌朝、死体で見つかる。自分の首をナイフで切って。
 一見自殺だが、そこに颯爽と乗り込んでくる著名な名探偵ブラン。警察もブランに一目置いており、捜査の進展に期待する。まるでシャーロック・ホームズである。
 怪しい家族たち。事業家の長女、その夫、その放蕩息子。長男の未亡人とその娘。父の出版物をとりしきる次男とその妻とネオナチかぶれの息子。死んだ作家の認知症の老母。九人の親族。
 ハーランの付き添い看護師だったウルグアイ移民のマルタは嘘をつくと吐く持病があり、ブランは彼女を助手役に捜査を進める。
 思い入れたっぷりに推理を語る名探偵ブランのダニエル・クレイグ、嘘をついたら吐くという性質から人間嘘発見機のように重宝がられるマルタのアナ・デ・アルマス、尊大で横柄な長女のジェイミー・リー・カーティス、遊び人のクリス・エバンス、老作家のクリストファー・プラマーなど、芸達者ぞろい。
 ミステリーなのでこれ以上語るのは禁物だが、倒叙型の要素も少しあり。

 

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密/Knives Out
2019 アメリカ/公開2020
監督:ライアン・ジョンソン
出演:ダニエル・クレイグ、クリス・エバンス、アナ・デ・アルマス、ジェイミー・リー・カーティスマイケル・シャノンドン・ジョンソントニ・コレット、ラキース・スタンフィールド、キャサリン・ラングフォード、クリストファー・プラマー