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『映画に溺れて』第384回 グッドライアー 偽りのゲーム

第384回 グッドライアー 偽りのゲーム

令和二年二月(2020)
日比谷 TOHOシネマズ日比谷

 

 ヘレン・ミレンイアン・マッケラン、どちらもイギリスのシェイクスピア俳優にしてベテランの名優、映画に主演もすれば脇役も多い。
 デイムの称号のあるヘレン・ミレン。私が最初に記憶しているのは『天才悪魔フー・マンチュー』のヒロインだった。その後『エクスカリバー』の魔女モルガナの妖艶さ。最近ではヒッチコックの妻になったり、エリザベス女王になったり、大活躍である。
 一方、サーの称号のあるイアン・マッケラン。『X-メン』のマグニートーと『ロード・オブ・ザ・リング』の魔法使いガンダルフ、このふたつの役が特に印象深いが、『ゴッド・アンド・モンスター』でジェームズ・ホエール監督役、『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』では老いたシャーロック・ホームズも演じている。
 デイム・ヘレンとサー・イアン、この燻し銀のような二人が共演、しかも騙し合うというのだから外れはない。
 資産家の未亡人ベティは上品な老婦人。ロイは温厚で品のある老紳士。ロンドンに住むベティはインターネットの出会い系サイトでロイと知り合い、デートする。ふたりは意気投合し、親しくなる。
 実はロイは名うての詐欺師で、金持ちのベティに目をつけ、取り入ることに成功する。うまい投資話を持ちかけて、全財産を奪うのがいつもの手口。
 ロイはエレベーターのないアパートの最上階に住んでいるのだが、膝が痛くてつらいと同情を引き、とうとうベティの家に居候するまでになる。
 ベティの孫が現れ、ロイを疑うが、ベティは気にしない様子である。さて、このままベティは簡単に騙されてしまうのか。
 ところが、どうもベティもあやしいのだ。ただの人のいい老婦人ではなさそう。なにか企んでいるようだ。配役からして癖のあるヘレン・ミレン、お人好しの未亡人で終わるわけがない。さて、ふたりの騙し合い、どう展開するか。

 

グッドライアー 偽りのゲーム/The Good Liar
2019 アメリカ/公開2020
監督:ビル・コンドン
出演:ヘレン・ミレンイアン・マッケランラッセル・トーヴィー、ジム・カーター