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『映画に溺れて』第423回 真実の行方

第423回 真実の行方 

平成九年二月(1997)
池袋 文芸坐

『シカゴ』で悪徳弁護士を演じたリチャード・ギア、やはり『真実の行方』でもシカゴの弁護士役で主演している。
 報酬目当てで卑劣な犯罪者の依頼を受け、無実を勝ち取る敏腕弁護士ベイル。
 大司教が殺害され、現場にいた血まみれの青年アーロンが逮捕される。地方出身の無教養で貧しい青年だが、見るからに純真無垢。事件を知ったベイルは無報酬で弁護を名乗り出る。状況証拠ではアーロンはあらゆる面で不利だが、これを無罪にすれば名が上がるとの目論見である。
 担当検事のジャネットはかつてベイルと恋仲だったが、金儲けのためになりふりかまわず汚い弁護を引き受けるベイルが今回は売名のための無報酬と知って嫌悪し、厳しく対立する。
 アーロンには事件の記憶がない。これも不利な条件のひとつだが、ただ、アーロンの証言では現場に第三者がいたらしい。
 殺された大司教の身辺を洗うと、土地開発に投資していながら、信者の支持を得るため、開発反対に寝返ったことがわかる。
 死体はむごたらしく切り刻まれており、犯人はアーロンではなく、土地開発派の送り込んだプロの仕業だろうか。
 最初は功名心のために引き受けた弁護だったが、ベイルはだんだん内気でおどおどしているアーロンの心優しい面に惹かれ、なんとか無実を証明しようとする。そして、大司教の裏の顔に行きつくのだが。
 ラストの衝撃の快感を楽しむには、映画鑑賞の前にインターネットなどに書かれた詳しいあらすじは決して読むべきではない。と思える傑作である。
 アーロンを演じたエドワード・ノートンの名演技、これが出世作となる。

真実の行方/Primal Fear
1996 アメリカ/公開1996
監督:グレゴリー・ホブリット
出演:リチャード・ギアローラ・リニーエドワード・ノートンフランシス・マクドーマンドジョン・マホーニー