『映画に溺れて』第440回 ナンズ・オン・ザ・ラン 走れ!尼さん
第440回 ナンズ・オン・ザ・ラン 走れ!尼さん
平成三年十月(1991)
池袋 シネマセレサ
懐かしいエリック・アイドル主演のコメディ。相手役がロビー・コルトレーン。
定食屋でランチを食べているブライアンと同僚のチャーリー。昼休みは二時までらしい。ふたりで今の仕事について苦情を言い合う。そこへメッセンジャーボーイが現れ、ランチタイムは終わりだと告げる。
次の場面は銀行。二人は銀行員だったのか。実はそうではなく、銀行を襲うギャングの下っぱなのである。
ふたりのボスは陰険な若造で、中国人ギャングの麻薬の売り上げ強奪を計画している。この仕事を最後に役立たずのふたりを消してしまうつもりなのだ。
それに気づいたブライアンとチャーリーは、中国人との銃撃戦の隙に横から奪った金をそのまま持ち逃げする。
元のギャング仲間、中国人、警察の三者から追われたふたりは修道院に逃げ込み尼僧に化ける。そこに銃撃戦で負傷したブライアンの恋人フェイスも現れる。
女装してギャングから逃げるアイディアは『お熱いのがお好き』と同じ。ギャングが修道院に逃げ込み聖職者になりすますのはロバート・デ・ニーロとショーン・ペンの『俺たちは天使じゃない』である。
最後はフェイスが入院中の病院で、ギャング仲間、中国人、警察、尼僧たちが鉢合わせ、大混戦になるが、ブライアンとチャーリーは看護婦に化け、フェイスを連れてまんまと空港まで逃げおおせる。と思ったら、空港にも警察の手が回っていた。
ふたりを尼僧と疑わず、若い女性たちが目の前で平気で着替える場面が印象的。
エリック・アイドルはその後、ディズニーランドの体感型立体映像アトラクション『ミクロアドベンチャー』に博士役で出演していたのでうれしかった。
ロビー・コルトレーンは『ハリー・ポッター』シリーズで庭師ルビウスを演じている。
ナンズ・オン・ザ・ラン 走れ!尼さん/Nuns on the Run
1990 イギリス/公開1991
監督:ジョナサン・リン
出演:エリック・アイドル、ロビー・コルトレーン、カミーユ・コドゥリ、ジャネット・サズマン、ロバート・パターソン
『映画に溺れて』第439回 ミラクル・ニール!
第439回 ミラクル・ニール!
平成二十八年一月(2016)
京橋 テアトル試写室
学生時代、モンティ・パイソンが大好きで、毎週欠かさずTVで観ていた。イギリス出身の五人の秀才、グレアム・チャップマン、ジョン・クリーズ、エリック・アイドル、マイケル・ペリン、テリー・ジョーンズ、それにアメリカ出身のテリー・ギリアム。
この中のテリー・ジョーンズは中背でずんぐり、番組では全裸のオルガン奏者や目つきの悪い変なおばさんの役が多かったが、実は童話作家でもあり、晩年は歴史研究家でもあった。テリー・ジョーンズの最後の監督作品が『ミラクル・ニール!』である。
遠い宇宙の果てで、高度な知性と文明を持つ宇宙生命体たちが集まり、会議を開いている。彼らは宇宙の秩序を守るため、無能な生物が支配する星を次々と消滅させてきた。地球から届いた幼稚なメッセージを嘲笑い、消滅を検討。が、その前にひとつチャンスを与える。地球人から無作為にひとり選んで、なんでも叶えられる万能の力を与え、結果を見ることにする。
中学教師のニールはまったくやる気がなく、生徒たちからも馬鹿にされている。ある日、同僚と会話していて、あんなクラスなんかなくなればいいと言ったとたん、教室が爆破されて消滅する。右手を挙げて願い事を口にすると、それが叶うことがわかったニールは飼い犬のデニスに会話能力と知性を与える。隣に住む美人のキャサリンをなんとかしようとする。せっかく万能の力を授かっても思いつくのはつまらないことばかり。宇宙の果ての評議会では知的生命体たちが大笑い。
隣のキャサリンもニールを憎からず思っているが、彼女にまとわりつくストーカーがニールの万能力を知り、これを悪用しようとして大騒動。
宇宙生命体たちの声はかつてのモンティ・パイソンのメンバー、早くに亡くなったグレアム・チャップリンを除く仲間たちが演じた。ロビン・ウィリアムズは飼い犬デニスの声を担当したが、残念ながらこれが遺作となった。
ミラクル・ニール! /Absolutely Anything
2015 イギリス/公開2016
監督:テリー・ジョーンズ
出演:サイモン・ペッグ、ケイト・ベッキンセール、サンジーヴ・バスカー、ロブ・リグル、エディー・イザード、ジョアンナ・ラムリー、テリー・ジョーンズ、ジョン・クリーズ、テリー・ギリアム、マイケル・ペリン、エリック・アイドル、ロビン・ウィリアムズ
『映画に溺れて』第438回 ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!
第438回 ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!
平成二十一年二月(2009)
新橋 新橋文化
サイモン・ペッグ、ニック・フロストのコンビが主演、エドガー・ライト監督の英国コメディである。
エリート中のエリート警官ニコラス・エンジェル。大学と警察学校を主席で卒業、頭脳明晰、腕力に優れ、特殊部隊に配属され、次々と手柄を立てる。だが、あまりに優秀すぎて、周囲から浮いてしまい、おまえのせいで俺たちが無能に見えるという理由で、上司から妬まれ、田舎町に転勤となった。
平和でのどかな田舎。事件など何も起こりそうになく、未成年者の飲酒を取り締まったり、行方不明の白鳥を捜査したり、退屈で手持無沙汰である。
ところが、この平和な町で交通事故が発生し、弁護士とその恋人の市役所職員が死亡する。ニコラスはこの事故に不審を抱き、事件ではないかと疑う。
田舎町の警官たちは一笑に付すが、さらに次々と住民が死亡する事故が続き、署長の息子でだらしない巡査のダニーを相棒にして、ニコラスは真相に迫っていく。
鋭いニコラスとぼんやりしたダニーのコンビはまるでホームズとワトスンである。
やがて事件の真相ととんでもない黒幕が判明し、田舎町の住人たちと警官との派手な銃撃戦となる。
渋い古典風ミステリと思わせて、最後は活劇映画として大いに盛り上がる。この無茶苦茶さはモンティ・パイソンの世界を彷彿とさせる。
四代目ジェームズ・ボンドだったティモシー・ダルトンが大真面目にコメディ出演というのもうれしい。署長がジム・ブロードベント。ビル・ナイとマーティン・フリーマンはエドガー・ライト監督の『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ワールズ・エンド』にも出ているお馴染みである。
ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!/Hot Fuzz
2007 イギリス/公開2008
監督:エドガー・ライト
出演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジム・ブロードベント、ティモシー・ダルトン、ビル・ナイ、マーティン・フリーマン、ルーシー・パンチ
『映画に溺れて』第437回 宇宙人ポール
第437回 宇宙人ポール
コミックやアニメやSFのマニアが集う祭典、コミコンがアメリカで開かれ、ふたりのSFオタクがイギリスからはるばる見物にやって来る。演じるのはエドガー・ライトのコメディでお馴染みのサイモン・ペッグとニック・フロストのコンビ。
会場にはスペースもののヒーローや宇宙人の扮装をしたマニアがいっぱい。SFグッズを買い込んだり、有名作家にサインをもらったり、わくわくしながらコミコンを楽しんだふたりは、その後、アメリカ国内のUFOスポット巡りに興じる。そして、出会うのだ。米軍の秘密基地から逃亡中の宇宙人ポールに。
いかにもSF映画に出てきそうな型通りの宇宙人で、流暢な英語を話す。宇宙船が故障して、米軍の基地にずっと囚われていた。仲間が迎えに来ることになったので、そこまで車に乗せてくれ。これを追う軍の捜査官。
英国人と宇宙人の道中に巻き込まれて加わるのが狂信的なキリスト教徒の若い女性。世界は神が創ったのだから、進化論も宇宙人も存在しないと主張する。
ポールいわく、スピルバーグに映画のアイディアを助言したのは僕なんだ。『未知との遭遇』や『E.T.』など、SF映画へのオマージュがたっぷり。
米軍秘密基地でポールを研究し虐待していたボスが『エイリアン』のシガニー・ウィーバーというのも楽しい。
旅行中のふたりの英国人がアメリカで宇宙人に出会う設定は、ひょっとして、旅行中のふたりのアメリカ人がイギリスで狼人間に出会うあれとも関係あるのか。
それはそうと、このとき、飯田橋ギンレイホールでは『宇宙人ポール』と『メン・イン・ブラック』が二本立てだった。同じ時期、早稲田松竹では『未知との遭遇』と『宇宙人ポール』、キネカ大森では『ホット・ファズ』と『宇宙人ポール』の二本立て。だから私は名画座が好きなのだ。
宇宙人ポール/Paul
2011 イギリス・アメリカ/公開2011
監督:グレッグ・モットーラ
出演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジェイソン・ベイトマン、クリステン・ウィグ、ビル・ヘイダー、ブライス・ダナー、ジョー・ロー・トルグリオ、ジョン・キャロル・リンチ、シガニー・ウィーバー、セス・ローゲン、ジェフリー・タンバー
大河ドラマウォッチ「青天を衝け」 第24回 パリの御一新
血洗島の篤太夫の生家に、一人の侍が訪ねてきます。パリで篤太夫と共にいた、外国奉行支配調役の杉浦愛藏(志尊淳)でした。杉浦は篤太夫からの文(ふみ)を届けに来たのでした。篤太夫からの荷物には、写真も入っていました。一枚は額に入れられた民部公子(板垣李光人)の写ったもの。そして髷を切った洋装姿の篤太夫のものがあったのです。これを見た篤太夫の妻の千代(橋本愛)は一言もらします。
「あさましい」
慶応四年(1868)一月二日。パリの一行に幕府から御用状が届きます。外国奉行の栗本鋤雲(池内万作)がそれを開き、顔色を変えます。
「上様が政(まつりごと)を朝廷に返上したと」
皆はそれを信じることができません。
篤太夫は日本総領事のフリュリ・エラールに、証券取引所に連れて行かれます。そこでは男たちがやかましく声をあげていました。篤太夫はエラールに、国債について説明を受けます。さらに社債についても教えられます。篤太夫は腑に落ちない様子でした。
二月になると、江戸からまた御用状が届きます。そこには慶喜が薩摩との衝突を避けるために京を出て、大阪城に入ったことが記されていました。大阪城には公儀の兵が集結しているとのことでした。栗本は信じられません。
「いよいよ逆賊御殲滅(せんめつ)という、会心の知らせが届くのを待ち望むのみ」
と、書状を机に叩きつけるのでした。
篤太夫あての文(ふみ)も送られてきました。見たて養子の平九郎(岡田健史)からのもの。母からのもの。惇忠(田辺誠一)からのものには、長七郎が牢を出たことが記されていました。そして千代からのものには
「お前様が以前と変わってしまい、どうしたことか。あまりにあさましく、見るのもつらきこと。異国になじまねばならぬとはいえ、心苦しく、どうか、以前のような勇ましいお姿にお改めくださいますよう、くれぐれもお願い申し上げます」
と、書かれていました。篤太夫は笑い声を上げながら頭を抱えます。そして
「会いてえなあ」
と、つぶやくのでした。
三月に横浜からフランス人向けの新聞が届きます。そこには京都と大阪の間でいくさがあったことが記されていました。
「御用状にもそうある」と栗本がいいます。「今までの知らせは、嘘偽りではなかったのだ」
篤太夫が御用状を読み上げます。幕府軍に向けて薩摩の兵が砲弾を放ち、伏見、鳥羽などで昼夜を問わずいくさとなり、ついには全軍が敗走した。慶喜は大阪を立ち退き、船で江戸に戻った。朝廷は朝敵の名を慶喜に負わせ、関東征討の勅命を出し、兵を率いて江戸に向かうとの噂。
「馬鹿な。あろうことか上様が朝敵とは」
と、取り乱す者がいます。民部公子に知らせる必要があると思われましたが、慶喜からの直書が同封してあり、すでにそれを読んでいるはずとのことでした。
篤太夫は民部公子の部屋を訪れます。直書には
「せっかく参ったのであるから、急ぎ帰国する考えを抱くことなく、十分留学の目当てを達するように」
と、書かれていました。篤太夫は意見を求められます。
「真(まこと)を申せば、全くもって解(げ)せませぬ」篤太夫は頭をたれています。「文(ふみ)でお諫(いさ)めになってはいかがでしょうか」
「諫める」
と、民部公子は聞き返します。
「文(ふみ)にて建白なされるのです。例えば、政権を朝廷に返されたのなら、なぜ兵を動かしたのですか、と。また、いくさのご意志があって兵を動かしたのなら、なぜ最後まで戦われなかったのか」篤太夫の声は感情的になっていきます。「この先、必ず、臆病、暗愚とののしられると分かりながら兵を置き去りにし、江戸へ戻られたのはいかなることでございましょう。朝敵の汚名を着せられ、追討軍に負われても勇敢な家臣と共に戦われず、かようなあり方で神祖三百年の御偉業をみずから捨てられ、東照大権現様に何と申し開きをなされるおつもりか」
篤太夫の声は高まっていました。いつの間にか自分の気持ちを述べていたのでした。
四月。栗本たちが一足先に日本に帰ることとなりました。
篤太夫のもとに、幕府軍として戦っていた、成一郎(高良健吾)からの文(ふみ)が届きました。そこには成一郎が銃弾で負傷した事が書かれていました。
「幸いにも江戸に戻れたが、薩摩、長州、土佐の勢いは盛んで、今や上様はどんな勅命も甘んじて受け入れると、上野寛永寺で蟄居(ちっきょ)をされ、生きるか死ぬかの瀬戸際だ。しかしお前が国を離れて以来、上様が少しでも尊皇の大儀に背いたことはない。俺は上様の汚名をそそぐため、旗本御家人の同志と同盟を結んだ。きっと挽回の時が来る」
それを読んだ篤太夫は涙を流すのでした。
篤太夫は民部公子とコーヒーを飲んでいました。そこに文(ふみ)が届きます。新しい政府からの公文書だというのです。民部公子は思わずつぶやきます。
「新しき政府」
御一新につき、民部公子も急ぎ帰国せられよとの内容でした。
「御一新」
今度は篤太夫がつぶやきます。
書庫で篤太夫は、エラールと話します。
「フランス政府も帰国を勧めています。上様も水戸に謹慎され、帰られても民部公子様に危害は及ばないでしょう」
そういうエラールに対し、篤太夫はいいます。
「しかし、民部公子は国を出る前、何があっても、学問を続けるよう上様にいいつかっておられた。どうにかして学業を続けていただきたい」
「分かりました」と、エラールはいいます。「じきにロッシュが日本から戻るので、相談しましょう。それからでも遅くはない」
七月になります。水戸藩主が亡くなったという知らせが民部公子にもたらされます。民部公子は荒い息をつき
「そうか」
と答えます。それにより朝廷の指示で、民部公子が水戸家を継ぐことが決まったというのです。
「私が、水戸を」
民部公子は動揺します。
「そんな」篤太夫は考え込みます。「これは何かの謀(はかりごと)だ。民部公子様を、どうにか国に戻そうとする誰かの謀に違いない」
そこにエラールに連れられて、前駐日フランス公使のレオン・ロッシュがやって来ます。
「御一新など無視して学業を続けましよう」ロッシュは訴えます。「今、日本に帰ったら危ない。会津が新政府軍と戦っていると聞きました。帰れば必ず巻き込まれます」
「いや」決意の声を民部公子は出します。「もう帰ろう」民部公子はエラールたちにいいます。「この国の方々に心から感謝申し上げる」
エラールたちは民部公子に深く頭を下げるのでした。
パリの川沿いを民部公子と篤太夫が歩きます。民部公子が立ち止まります。
「渋沢、私は、水戸に帰るのが怖い」民部公子は篤太夫を振り返ります。「日本に戻っても、私の側にいてくれぬか」
篤太夫は書庫を片付け、帰国の用意をしていました。そこにエラールがやってくるのです。篤太夫はエラールにいいます。
「あなには礼をいわなければならないことがあります」
篤太夫はエラールに勧められた国債と鉄道債を買い、利益を上げていたのです。エラールはいいます。
「その日本のお金が、フランスの鉄道にも役立った」
「しかり。皆の小さき一滴一滴が流れを作り、皆が幸せになる。こんなトレビアンな術があるのかと、あなたは俺に教えてくれた」
「キャピタルソシアル」とエラールはその制度について説明します。「上下水道や鉄道もそう。志は良くても、一人ではできそうにないことが、多くの人から少しずつ金を集めることで可能になる。貸す方だって、ただ貸すのではない。事業がうまくいけば、なんと、配当金をもらえる」
「一人がうれしいのではなく、皆が幸せになる。一人ひとりの力で、世を変えることができる」篤太夫は胸を押さえます。「おかしれえ。これだ。俺が探し求めてきたのはこれだ」
『映画に溺れて』第436回 マーズ・アタック!
第436回 マーズ・アタック!
十九世紀末、H・G・ウェルズはSF小説『宇宙戦争』を発表した。タコ型の火星人が地球に飛来し、迎える要人を熱線で焼き殺し、地球を侵略しようとする。
オーソン・ウェルズはラジオドラマで『宇宙戦争』をリアルな生放送のごとき演出で流し、本気にしたリスナーの間でパニックが生じた。
二十世紀末、ティム・バートン監督のSF映画『マーズ・アタック!』が公開された。ウェルズの『宇宙戦争』のコメディ版というべきか。
火星から無数の空飛ぶ円盤が地球に向って押し寄せる。優れた科学技術を持つ知的生物なら、きっと友好的に違いないという宇宙学者の助言もむなしく、火星人たちは地球で殺戮を繰り広げる。下等動物である地球人を蔑み、嘲笑い、面白半分に人体実験や虐殺を行う火星人はまるでナチスの醜悪な戯画化のようである。
ほとんどB級漫画だが、最初のタイトルで円盤が規則的な群れを成して宇宙空間を飛ぶ場面からわくわくさせられる。
しかもこの超B級漫画のようなSFコメディにハリウッドの主演級大物スターがずらりと並ぶ。大統領とラスベガスの山師の二役がジャック・ニコルソン、大統領夫人がグレン・クローズ、山師の妻がアネット・ベニング、宇宙学者がピアース・ブロスナン、ニュースキャスターがサラ・ジェシカ・パーカーとマイケル・J・フォックス、将軍がロッド・スタイガー、ラスベガスの客がダニー・デヴィート、大統領令嬢がナタリー・ポートマン、トム・ジョーンズは本人の役。まだまだスターが出ているが、その多くが火星人にあっけなく殺される。こんな主演級の名優がこんな死に様とは。
大スターを大勢使って金をかけた、これはオチも含めて壮大なジョークなのである。
マーズ・アタック!/Mars Attacks!
1996 アメリカ/公開1997
監督:ティム・バートン
出演:ジャック・ニコルソン、グレン・クローズ、アネット・ベニング、ピアース・ブロスナン、ダニー・デヴィート、マーティン・ショート、サラ・ジェシカ・パーカー、マイケル・J・フォックス、ロッド・スタイガー、トム・ジョーンズ、ナタリー・ポートマン、ジム・ブラウン、ルーカス・ハース、リサ・マリー、シルヴィア・シドニー、パム・グリア、ジャック・ブラック、ジョー・ドン・ベイカー
小説をアップしました
合評会用の小説をアップしました。
『映画に溺れて』第435回 カウボーイ&エイリアン
第435回 カウボーイ&エイリアン
平成二十三年十一月(2011)
新宿 新宿ピカデリー
開拓時代のアメリカ西部。カウボーイ、ガンマン、保安官、酒場の女、インディアン、荒野の追跡。その型通りの西部劇に、宇宙人襲来のパニックSFを混ぜたらどうなるか。
荒野に倒れている謎の男。そこを馬で通りかかる三人組のならず者。男は絡まれるが、逆に三人を倒し、服と馬を奪って町まで行く。
寂れた町の酒場にぶらりと現れる男。酔って暴れている若者は、町を牛耳るボスの不良息子。お決まりのいざこざがあり、保安官が出てきて、よそ者の男と不良息子を留置し、裁判所へ送ろうというときに、ボスが手下を引き連れて帰って来る。
と、ここまではごく普通の西部劇そのもの。
そこへ突如、空から飛行物体が現れる。
凶悪な異星人と十九世紀の西部人がどうやって戦うのか。
荒野の追跡もまた、西部劇通り。この手の映画はアイディアは面白くても、アイディア倒れでストーリーはスカスカ、細部は手抜き、配役は三流という超B級ものに陥ること多いのだが、配役だけは一流である。
主演の謎の男が007のダニエル・クレイグ。町のボスがレイダースのハリソン・フォード。この二大スターの他にも私の好きなサム・ロックウェルが酒場の主人。『ショーシャンクの空に』の鬼看守だったクランシー・ブラウンが牧師。『マリアの恋人』のキース・キャラダインが保安官。『リトル・ミス・サンシャイン』のポール・ダノ少年が不良息子。ボスの片腕のインディアン青年に『ウィンド・トーカーズ』のアダム・ビーチ。監督のジョン・ファヴロウは『アイアンマン』では監督兼ハッピー・ホーガン役も務めた才人である。
これだけそろっていれば、内容はB級であっても立派な西部劇として見応えはある。
そういえば、日本の時代劇にも剣豪が宇宙人と戦う『大帝の剣』があった。
カウボーイ&エイリアン/Cowboys & Aliens
2011 アメリカ/公開2011
監督:ジョン・ファヴロウ
出演:ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリヴィア・ワイルド、サム・ロックウェル、ノア・リンガー、ポール・ダノ、クランシー・ブラウン、アナ・デ・ラ・レゲラ、キース・キャラダイン、アダム・ビーチ