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『映画に溺れて』第113回 ゾンビランド

第113回 ゾンビランド

平成二十三年二月(2011)
新橋 新橋文化

 

 とはいえ、私はゾンビ映画はそんなに好きというわけでもない。が、ジャンルでひとくくりにして、否定するのはもったいない。ゾンビでもオカルトでもホラーでも面白い作品はけっこうあるのだ。中でも私の好奇心をくすぐるのがゾンビコメディ。
 地球全域がゾンビウィルスでほぼ汚染され、まともな人間はごくわずかという世界。主人公は引きこもりのオタク学生コロンバス。他人との接触があまりなかったのがよかったのか、まだ感染されていない。
 彼には生き残りルールというのがあって、英雄になるな、車にはシートベルト、トイレに注意、ゾンビは二度撃ち。といったいくつもの注意事項を守りながら、生き延びている。
 両親の住む故郷をめざす途中でゾンビ殺しに燃えるハンターのタラハシーと出会い、旅路をともにする。またまた途中で詐欺師姉妹ウィチタとリトルロックと出会い、これもいっしょに。
 カリフォルニアのパシフィックランドは汚染されていないという幻想があって、そこへ行くことに。途中でハリウッドのスターの寂れた豪邸に立ち寄る。
 その大スターとは、なんとビル・マーレイ。びっくりするような豪勢なお屋敷。屋敷内には映写室もあって、オタク学生コロンバスはさっそく『ゴーストバスターズ』を鑑賞。マーレイはほんとにこんなすごいお屋敷に住んでいるのだろうか。
 そして四人の前に現れるのが、髪ふりみだし、皮膚のぼろぼろに崩れた男、両手を突き出して近づいてくる彼こそ、ビル・マーレイ本人というくすぐり。
 いろいろあって、四人が最後に行く遊園地も、ゾンビに汚染されていないわけがなく、大殺戮の饗宴となる。
 こんな楽しく面白いゾンビ映画というのもまた、うれしい限り。


ゾンビランド/Zombieland
2009 アメリカ/公開2010
監督:ルーベン・フライシャー
出演:ウディ・ハレルソンジェシー・アイゼンバーグエマ・ストーンアビゲイル・ブレスリンビル・マーレイ