日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『映画に溺れて』第35回 最狂絶叫計画

第35回 最狂絶叫計画 平成十六年十月(2004)新宿 新宿ピカデリー4 かつて、新宿の紀伊国屋書店の裏あたりに新宿ピカデリー4というミニシアターがあった。狭い階段を上がって、チケットを買い、中に入るとロビーもエントランスもなくて、いきなり客…

『映画に溺れて』第34回 女優霊

第34回 女優霊 平成九年一月(1997)池袋 シネマセレサ 中田秀夫監督の『リング』は怖かったが、もう一本、中田監督のさらに怖い映画が『女優霊』である。 怖い。不気味。ひたすら観客を怖がらせるだけに徹した映画。怖がらせるといっても、わあっと脅…

『映画に溺れて』第33回 リング

第33回 リング 平成十年三月(1998)渋谷 渋東シネタワー4 初めて映画館で『リング』を観たときのことは忘れられない。怖い映画というのは知っていたが、詳しい内容は知らずに観た。 二人の女子高校生が夜、怖い体験を語り合っている。あたし、いやな…

ひねもすのたり新刊書評 五月号 単行本編

ひねもすのたり新刊書評 五月号 単行本編 2019.05.05菊池仁 記 諸般の事情もあってのたり新刊書評、ホンモノののたりとなってしまった。深く反省しています。と言う事でスピードを上げていきます。 梶よう子がいい。最近の作者の活躍には目を見張るものがあ…

『映画に溺れて』第32回 怪談夜泣き燈籠

第32回 怪談夜泣き燈籠 平成四年七月(1992)早稲田 ACTミニシアター 時代劇全盛の頃は怪談映画もたくさん作られた。『四谷怪談』『番町皿屋敷』『牡丹灯籠』『累が淵』などなど、芝居や落語、講談などの脚色が多いが、中にはオリジナルもけっこう…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第17回 いつも2人で

ベルリンオリンピック中止の新聞記事を見た、金栗四三(中村勘九郎)の妻スヤ(綾瀬はるか)は、熊本から東京に向かう許可を義母の幾江(大竹しのぶ)に求めます。スヤは気が散ると、四三に東京から追い返されたばかりでした。 大日本体躯協会の嘉納治五郎か…

『映画に溺れて』第31回 怪談 蚊喰鳥

第31回 怪談 蚊喰鳥 平成十二年八月(2000)銀座 シネパトス1 低予算ながら密度の濃い時代劇である。主な登場人物は小唄の師匠、その情夫の遊び人、師匠に横恋慕の按摩、三人だけ。三人が三人とも善人とはほど遠い。 師匠のところへ金をせびりに来る…

『映画に溺れて』第30回 羽織の大将

第30回 羽織の大将 平成四年四月(1992)三軒茶屋 スタジオams 私の出身校は大阪芸術大学舞台芸術学科である。当時の先生が堺正俊教授。芸名がフランキー堺。四年間、私は堺先生に教えを受け、演劇の勉強をしたのだ。 だから、軽々しくフランキーな…

新書専門書ブックレビュー1

「火付盗賊改」(高橋義夫、中公新書) 火付盗賊改-鬼と呼ばれた江戸の「特別捜査官」 (中公新書) 作者: 高橋義夫 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2019/02/20 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 本作の副題は「鬼と呼ばれた江戸の『特別捜…

『映画に溺れて』第29回 幕末太陽伝

第29回 幕末太陽伝 昭和四十八年八月(1973)大阪 堂島 毎日ホール 山田洋次監督の『運が良けりゃ』は二本立てで観たのだが、もう一本が川島雄三監督の『幕末太陽伝』であったのだ。なんて贅沢で素敵な組み合わせだったろう。 当時、講談社文庫から興…

『映画に溺れて』第28回 運が良けりゃ

第28回 運が良けりゃ 昭和四十八年八月(1973) 大阪 堂島 毎日ホール 山田洋次といえば、『男はつらいよ』だが、実は寅さんシリーズの前に馬鹿シリーズというのがあり、私はこっちが寅さんより好きである。『馬鹿まるだし』『馬鹿が戦車(タンク)で…

『映画に溺れて』第27回 男はつらいよ 寅次郎春の夢

第27回 男はつらいよ 寅次郎春の夢 平成八年九月(1996)築地 松竹セントラル2 『男はつらいよ』はシリーズ化され、毎年興行されて人気は続き、舞台となった葛飾区の柴又、帝釈天の参道には全国から観光客が押し寄せた。シリーズ終了後も、柴又駅前に…