大河ドラマウォッチ「西郷どん」 第45回 西郷立つ
今週も軽くツッコんでいこうと思います。
西郷が創立した私学校には、続々と若者たちが集まってきていました。
大久保は東京の内務卿にてそのことを聞きます。警察を統括する川路利良が大久保にいいます。新聞は政府への批判のために西郷先生をまつりあげている。川路はすでに私学校に密偵をもぐりこませていました。中原尚雄という男です。
県令の大山が私学校に来て政府から廃刀令の出たことを伝えます。反発する若者たち。この私学校はすでに政府から目をつけられている、と訴える大山。若者たちは納得しません。そして桐野利秋が前に進み出ます。刀は侍の魂だ、しかしそのせいで西郷先生がつくった私学校にまでケチをつけられてたまるか。と、桐野は刀を外します。それにならう若者たち。
西田敏行のナレーションがいいます。「政府は立て続けに士族の給金を廃止、追い詰められた士族たちは次々に反乱を起こしました」。萩の乱、秋月の乱、神風連の乱などです。政府は軍を出動させ、それらをねじ伏せました。
私学校に熊本から文が届けられました。それを見た若者たちがいきり立っていました。刀をうばわれ、禄も召し上げられ、政府は士族にどうやって生きろというのか。そこへ西郷がやってきます。
「おはんらが立つことはだんじてならん」
しかしひとつの情報がもたらされます。政府は私学校をつぶそうと、密偵を忍び込ませているというのです。互いに疑い合う若者たち。それを見て、西郷はなぜか笑い声を上げるのです。密偵にさぐられて困るようなことはしていない、というのがその理由でした。若者たちはそれを聞いて解散します。
東京の大久保の元に電信が届けられます。私学校が非常に緊張した事態になっている。西郷従道が大久保にいいます。何千何万の不平士族がいきり立ったところで兄なら必ず押さえ込んでくれます。
「そのとおりだ」と間髪入れず大久保は答えます。「だが裏を返せば西郷の覚悟ひとつで日本中の士族を奮い立たせることもできるということだ」
従道は問います。
「密偵にくだされた命令は、偵察だけですか」
川路が答えます。
「私学校に暴発するような動きがあれば、身命を賭して説得し、それを止めよ」
従道が聞きます。
「説得に失敗した場合は」
「西郷先生には死んでもらわねばならぬ」
川路はそう吐きはき捨てます。
そのころ私学校では、密偵の中原が捕えられていました。
中原から情報を聞き出した桐野たちは、政府軍の武器庫を襲撃します。
西郷は桐野たちの所にやってきます。そこには縄で吊り下げられた中原の姿が。はげしい拷問のあとが見られます。西郷は中原を下ろすようにいいます。そして怒りにまかせて桐野たちを殴り倒していきます。西郷は叫びます。
「おはんらのやったことは、国家に対する反逆じゃ」
桐野が立ち上がって西郷に電信の紙を差し出します。
「これが大久保の本心です」
そこには
「ボウズヲシサツセヨ」
と書かれていました。ボウズとは西郷を示す暗号です。中原が自白したと他の者がいいます。私学校を瓦解させるために、西郷を刺し殺すつもりだったと。呆然とする西郷、中原の髪をなでます。桐野が言います。
「おいたちはみな、こん薩摩から新しか日本をつくるっちゅう先生の夢を信じて、政府に刀をうばわれても、禄をうばわれても、歯を食いしばって耐えちょりもした。そん西郷先生を殺そうとする大久保はあんまりじゃ」そして桐野は核心を突きます。「大久保がつくろうとしちょる日本に、おいたち士族の居場所はなか」
西郷はついにいいます。
「わかった」
東京に行って政府に訴え、まつりごとのあり方を問いただす。そして西郷は言葉に力をこめます。
「そいで、みんなで必ず薩摩に帰ってくっとじゃ」
こうして西郷は政府のまつりごとを問いただすという大義をかかげ、東京へと出発したのです。
東京に電信が届きます。川路が大久保に報告します。
「西郷先生が兵を率い、立ち上がられました」
「ないごてじゃ、吉之助さ」大久保は机をたたきます。「おいが吉之助さに会いに行く」
大久保は取り乱しています。それを止めたのは岩倉でした。大久保が行っても殺されるだけだといいます。
「お前は日本を見捨てるつもりか」
その言葉に大久保は立ち止まります。
全くすごいな、中園ミホは。こんな難しい題材をよくまとめ上げたな。大河が終わったら真っ白になっちゃうんじゃないか、と心配になります。