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大河ドラマウォッチ「西郷どん」 第42回 両雄激突

 今週も軽くツッコんでいこうと思います。
 西郷を中心とする留守政府は、大久保や岩倉の帰りを待たずして政策を推し進めていきました。徴兵令。学校教育制度。地租改正。鉄道や製糸場の改良。太陽暦の採用。裁判所の設置など、後の世につながる大きな成果を上げていきました。
 そんなとき、宮中で火事が起こります。火は無事、消し止められましたが、消火の指揮をしていた西郷は、これまでの疲れもあって、倒れてしまいます。
 しばらく療養する西郷。そして大久保が使節団より一足早く帰国するのです。大久保たち使節団は、条約改正などの成果を上げることができませんでした。
 西郷のいない留守政府は、大久保の政治参加を拒否します。だまって立ち去る大久保。
 大久保は療養中の西郷を見舞います。なぜなにもしないという約束を守らなかったのかと責める大久保。政治が止まって困るのは民だと返答する西郷。大久保は西郷に頼みます。留守政府の江藤たちをやめさせ、政府を立て直す。西郷は承知しません。江藤たちは大久保たちが留守の間、政府をしっかり守ってくれた。今の政府に帰国組が加わればいいではないか。大久保はいいます。船頭が多すぎてまつりごとにならない。西郷は諭すように、まつりごととは皆で十分に議論を、といいかけます。それをさえぎり大久保はいいます。
「議論など無用じゃ」
 ドイツのビスマルクは話し合いなどいらないと、力わざで三百の小国をひとつにまとめ上げた。日本も諸藩をまとめなくてはならない。欧米に追いつくために大事なのは、前へ突き進む力だけだ。それに逆らう者は取り除けばいい。
 これには西郷も怒ります。大声で、それなら政府にいないでいい。
「薩摩に帰ったらよか」
 と言い放ちます。
 政府に復帰した西郷のもとに、新たな問題が浮上します。朝鮮国が日本を、西洋のまねごとばかりしている夷狄だと罵り、今後、交易はおろか、国に立ち入ることも許さぬと布告してきました。板垣が立ち上がって発言します。すぐに朝鮮国へ軍艦と兵一大隊を差し向けて、我が国への非礼わびるよう迫るべきだ。西郷は朝鮮国に居留している二千人もの日本人のことを心配します。いくさになれば彼らが人質になるかもしれない。西郷は提案します。全権大使を派遣して、交渉による関係改善に努めるべきだ。しかしそれは危険な任務でした。かの地で殺される可能性もあるのです。自分が行く、と西郷はいいます。皆は賛成しかねる様子です。岩倉が帰ってから決めたらどうか、の意見が出ます。西郷は机をたたいて怒りを発します。
「じゃったらこいは何のための政府か」
 国家の大事にその是非を決められないなら、今すぐこんな政府はやめた方がいい。
って、今回はよく怒るな、西郷は。こんなキャラだっけ。熱血ぶりが帰ってきたということですかねえ、中園さん。
西田敏行のナレーションがいいます。
「こののち、二ヶ月にわたって議論を重ね、この問題は隆盛の朝鮮派遣という形で内定。天子様に上奏した上で、実行に移されることになったのです」
 閣議の席に岩倉が現れました。大久保を引き連れて。大久保はいいます。
「西郷参議の朝鮮派遣のこと、私は今一度考え直すべきだと思います」
 西田敏行のシメのナレーションです。
「大久保の目は、もはや、これまで見交わした友の目ではありませんでした。今宵はここらでよかろうかい」