日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第25回 時代は変わる

今回から「いだてん」は第二部になります。 関東大震災の復興もままならないまま、嘉納治五郎(役所広司)はパリオリンピックの参加を断行します。金栗四三(中村勘九郎)は現役を引退していましたが、予選大会で伴奏者として教え子を励まして走るうちに、ゴ…

『映画に溺れて』第87回 追憶

第87回 追憶 平成二十三年十一月(2011)日比谷 みゆき座 『追憶』が日本で初めて公開されたのは、私の学生時代。映画の背景は第二次大戦前から戦後の赤狩りの頃まで。 ユダヤ系で勉強熱心、左翼運動に燃える生真面目な女子学生ケイティがバーブラ・ス…

『映画に溺れて』第86回 フクロウと子猫ちゃん

第86回 フクロウと子猫ちゃん 昭和五十年八月(1975)大阪 中之島 SABホール 出会いから反発しあっている男女が、いつしか惹かれあって、最終的にはハッピーエンドになるというのが、ラブコメディのひとつの典型である。その過程をはらはらどきどき…

『映画に溺れて』第85回 恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ

第85回 恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ 平成三年一月(1991)高田馬場 早稲田松竹 ボーとジェフのブリッジス兄弟扮するザ・ファビュラス・ベイカー・ボーイズは、あまり売れないピアノ弾きの兄弟。これにミシェル・ファイファーの歌手ス…

『映画に溺れて』第84回 ベスト・フレンズ・ウェディング

第84回 ベスト・フレンズ・ウェディング 平成十年一月(1998)飯田橋 ギンレイホール コメディで笑わせてじーんとさせるのは相当の腕がいる。もちろん、全然笑えなくて泣いてしまうコメディは最初から失敗作だけど。タイトルでいきなり花嫁と三人の付添…

新書専門書ブックレビュー3

新書専門書ブックレビュー3 「『甲陽軍鑑』の悲劇」(浅野裕一・浅野史拡、ぷねうま舎) 『甲陽軍鑑』の悲劇: 闇に葬られた進言の兵書 作者: 浅野裕一,浅野史拡 出版社/メーカー: ぷねうま舎 発売日: 2016/07/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見…

『映画に溺れて』第83回ラブ・アゲイン

第83回 ラブ・アゲイン 平成二十四年三月(2012)高田馬場 早稲田松竹 ひねりの効いたシチュエーション、追い詰められる主人公、度重なる偶然、登場人物が勢ぞろいの大混乱。このありえなさをリアルな笑いに持って行くうまさ。上出来のラブコメディで…

初イベントのご案内です!

皆さま奮ってご参加ください! とても珍しいコラボです。 藤原緋沙子先生&千葉まい先生トークイベント

『映画に溺れて』第82回 新しい人生のはじめかた

第82回 新しい人生のはじめかた 平成二十二年十月(2010)飯田橋 ギンレイホール 私は若くはない。が、恋愛映画を観れば、自然と若い主人公に感情移入して、胸がときめく。主人公が中年や初老の男性なら、なおのこと。『新しい人生のはじめかた』は初…

『映画に溺れて』第81回 七年目の浮気

第81回 七年目の浮気 平成四年十月(1992)池袋 文芸坐2 これはもう、当時セックスシンボルと称されたマリリン・モンローの魅力が溢れんばかりである。 出版社に勤めるリチャードは結婚七年目にして一度も浮気の経験はない。が、空想癖があり、酷暑の…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第24回 種まく人

東京は、関東大震災にて壊滅的な被害を受けました。余震も続き、人々を不安に落とし入れます。この地震による死者行方不明者は約十一万人。全壊家屋十一万棟、火事で燃えた家二十一万棟。 有楽町の東京市庁舎も罹災し、外に張ったテントにて震災対策を行って…

コメントを下さった方へ

前のブログに同じ内容のコメントを下さった方へ お問い合わせの件については前のブログにて返事をしておりました。 御覧になっていないのであれば、ブログ管理者に直接お問い合わせください。 送信先はこちら→hibikiyuko☆gmail.com (☆を@に変更してくださ…

『映画に溺れて』第80回 ラルフ一世はアメリカン

第80回 ラルフ一世はアメリカン 平成十四年十二月(2002)東京 某公民館視聴覚室 雨上がりのバッキンガム宮殿。庭園に王族一同が集まり記念撮影。ストロボが光った瞬間、壇上に電流が走る。英国王とその一族が全員感電死というショッキングな幕開きは…

『映画に溺れて』第79回 恋はデジャ・ブ

第79回 恋はデジャ・ブ 平成五年十月(1993)有楽町 ニュー東宝シネマ1 SF仕立てのラブコメディ。なんといってもアイデアがいい。同じ日が何度も何度も繰り返されるという時間SFもの。 地方局で天気予報のキャスターを勤める主人公、売れてもいな…

『映画に溺れて』第78回 恋のジーンズ大作戦 巨人の女に手を出すな

第78回 恋のジーンズ大作戦 巨人の女に手を出すな 平成二年十二月(1990)三鷹 三鷹オスカー 大好きな三鷹オスカーが閉館したのは平成二年の十二月だった。新婚時代、妻とふたりでしょっちゅう通った三本立て。いったい何本観ただろうか。閉館前のさよ…

『映画に溺れて』第77回 少林サッカー

第77回 少林サッカー 平成十四年六月(2002)築地 東劇 チャウ・シンチーというのは無茶苦茶だな。私はけっこう好きだが、ただ無茶苦茶なだけの駄作も多い。 一番面白いヒット作といえば、これはもう『少林サッカー』に違いない。 神業のような少林寺…

『映画に溺れて』第76回 チャイニーズ・オデッセイ

第76回 チャイニーズ・オデッセイ 平成九年七月(1997)大井 大井武蔵野館 とはいえ、西遊記はやはり中国が本場。『チャイニーズ・オデッセイ』はパロディだが、さすがに中国人が作っているので、原作の味は残している。 斉天大聖孫悟空が観音菩薩に向…

頼迅庵の歴史エッセイ9

柳生久通のキャリア(3) 佐野善左衛門の田沼意知への刃傷事件の続きです。この事件は興味深いので、もうしばらくお付き合い願います。 殿中での刃傷事件が3月24日、その時の疵がもとで田沼意知が亡くなったのが26日明け方のこと。となると、善左衛門にはかな…

書評『龍の袖』

書名『龍の袖』著者名 藤原緋沙子発売 徳間書店発行年月日 2019年7月定価 ¥未定 坂本龍馬には関わりを持った多くの女がいたが、「妻」として「室」として、墓石に刻まれている女性が二人いた。お龍と千葉佐那(ちばさな)である。龍馬がお龍と仮祝言して…

『映画に溺れて』第75回 ドラえもん のび太のパラレル西遊記

第75回 ドラえもん のび太のパラレル西遊記 平成四年七月(1992)池袋 テアトル池袋 夏目雅子の三蔵法師以来、日本で作られた西遊記はろくなものがない。原作の背景もなにもなく、ただ女三蔵が猿や河童を引き連れて妖怪退治の旅を続けるという、まるで…

『映画に溺れて』第74回 西遊記

第74回 西遊記 昭和三十五年(1960)大阪 長瀬 長瀬東映 学齢に達する前にかなりの映画を映画館で観ているはずなのに、ほとんど特定できない。小学校高学年になってからはタイトルも内容もだいたいは憶えているのだが。 東映動画の『西遊記』は小学一…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第23回 大地

富江(黒島結菜)ら東京府立第二高等女学校(通称・竹早)の生徒たちは、教師の金栗四三(中村勘九郎)を辞めさせまいと、教室に立てこもります。 四三を辞めさせようとしている、富江の父、大作(板尾創路)の主張ははっきりしています。女は運動などしないで良い。…

『映画に溺れて』第73回 猿の惑星・創世記

第73回 猿の惑星・創世記 平成二十三年十月(2011)大泉 Tジョイ大泉 一九六八年の最初の『猿の惑星』は、メイキャップがすごかった。ロディ・マクドゥール、キム・ハンター、モーリス・エバンスといった名優たちが、特殊メイクで猿の顔になり、演技…

『映画に溺れて』第72回 新・猿の惑星

第72回 新・猿の惑星 昭和四十六年八月(1971)大阪 難波 南街劇場 『猿の惑星』は大ヒットとなり、次々と続編が作られた。私は『続・猿の惑星』だけは深夜TVでの鑑賞だが、あとはティム・バートン版も新シリーズもすべて劇場で観ている。 第三作の…

『映画に溺れて』第71回 猿の惑星

第71回 猿の惑星 昭和四十三年六月(1968)大阪 上本町 上六映劇 中学生の半ばまでは、映画館には父か祖母に連れられて行っていたのだが、中学三年生のとき、『猿の惑星』が公開され、父も祖母も子供だましと言って、観たがらない。どうしても観たい私…

『映画に溺れて』第70回 輪舞

第70回 輪舞 平成七年五月(1995)銀座 シャンゼリゼ ロジェ・ヴァディムの作品は六十年代のものが多いので、なかなか映画館で観る機会がない。シャンゼリゼは銀座の東映の地下の劇場で、後に丸の内TOEI②と名を変えた。『輪舞』は映画より先に銀座…

『映画に溺れて』第69回 課外教授

第69回 課外教授 昭和四十六年九月(1971)大阪 難波 なんば大劇場 高校生になると、ひとりで映画館に行くようになる。ロジェ・ヴァディム監督の『課外教授』を観たのは高校三年で、私はまだ十七歳だった。 ヴァディムといえば、芸術とセックスを融合…

頼迅庵の歴史エッセイ8 柳生久通のキャリア(2)

8 柳生久通のキャリア(2) 久通は安永9年11月5日に西の丸小十人頭から西の丸目付へ異動し、11月にはそのまま本丸目付となります。一橋家の豊千代(後の徳川家斉)は、まだ後嗣と決定されていないため、西の丸に人数を置く必要がなくなったのでしょう。 一般的…

『映画におぼれて』第68回 仮面の男

第68回 仮面の男 平成十年八月(1998)日比谷 日比谷映画 ひとりの俳優が性格の違う双子を演じるというのも、よくある。三銃士の後日談を描いたアレキサンドル・デュマの『鉄仮面』をレオナルド・ディカプリオが主演。 十七世紀、ブルボン王朝、後に太…

『映画に溺れて』第67回 デーヴ

第67回 デーヴ 平成六年一月(1994)池袋 文芸坐2 主人公のデーヴは大統領と瓜二つなところから、アルバイトでそっくりショーの余興などしている。それを見込まれシークレットサービスの要請で、大統領の代役を依頼される。 多忙な大統領の代わりにセ…