日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第15回 足固めの儀式

 源義経菅田将暉)は木曽義仲青木崇高)を討つために、近江国にまで来ていました。

 京で義経の軍勢が迫っていることを知った義仲は、後白河法皇西田敏行)を捕え、御所に火を放ちます。

 その頃、義時(小栗旬)は、父の北条時政坂東彌十郎)のところへ、八重(新垣結衣)との結婚のあいさつに訪れていました。義時はしばらく時政のところで、八重を預かってもらうことにします。

 御家人たちが集まって話しています。千葉常胤(岡本信人)が発言します。

「御所に攻め入り、頼朝の首をとる」

 三浦義澄(佐藤B作)が反対します。

「あまり手荒なことをしとうない」

 岡崎義実(たかお鷹)が声をあげます。

「わしらの本気を示すんじゃ」

 上総広常(佐藤浩市)がいいます。

「あるじを殺した奴に、人はついてこねえ。この坂東を、源氏から取り戻す。大事なのはそこじゃねえのか」

 結局、頼朝の嫡男である、万寿を連れ去り、これと引き換えに頼朝を出て行かせることにします。万寿は生まれてから五百日に、初めて立ったという「足固めの儀式」を行うことになります。これは計画のために文覚(市川猿之助)でっち上げた儀式でした。そこを狙うことにします。

 梶原景時中村獅童)が、話し合いの場を離れようとします。和田義盛横田栄司)に呼び止められるのです。梶原は、頼朝に通じていることを感づかれていたのです。梶原は厩(うまや)に閉じ込められることになります。

 五百日の儀式の当日になります。千葉常胤、岡崎義実、三浦義澄の三人は、木曽義仲の息子である、源義高(市川染五郎)と話をします。事が成った暁(あかつき)には、自分たちの旗頭になって欲しいと頼みます。

「しばらく時が欲しい」

 といって、義高は去って行きます。

 御殿で義時は、頼朝の側近たちに話します。

「本日、三浦殿を中心とした、大がかりな鹿狩りが催されるようです。万寿様のお祝いと、同じ日というのが気になります」

 頼朝の弟の範頼(迫田孝也)がたずねます。

「鹿狩りは見せかけというのか」

「鹿狩りと称せば、御家人が弓矢を携え集(つど)っていてもおかしくありません」

 義時は土肥実平阿南健治)から、謀反の企てを聞き出すのでした。

 集合した御家人たちに、千葉常胤が呼びかけます。 

八幡宮で儀式が始まった。終わる頃を見計らって、和田殿が軍勢を率いて押し寄せ、万寿様の身柄をおさえる。時を同じくして三浦勢は江ノ島へ向かい、全成(新納慎也)を捕える。仕上げは全軍で御所を囲み、頼朝に鎌倉を去るよう迫る」

 御家人たちが声をあげます。

 安達盛長(野添義弘)が頼朝に報告します。

「文覚の件、土肥殿の言葉、梶原殿の居所が分からないのが気になります。すべてが謀反の企てを示しております」

 頼朝は各所の守りを固めるように命じます。義時は抗議します。

「力と力がぶつかれば、鎌倉は火の海となります。まずは、話し合うことが肝要かと」

「話して分かる奴らか」

 と、比企能員佐藤二朗)がいいます。

「その時は、上総介(佐藤浩市)殿が力になってくれます」義時は大江広元栗原英雄)とうなずき合います。「上総介殿は、我らと通じております。あのお方と私で、必ずや御家人たちを説き伏せて見せます」

 頼朝が義時にいいます。

「必ず御家人たちを説き伏せよ。今、兵を引けば、すべてなかったことにしてやっても良い」

 儀式を終えた八幡宮に、御家人たちが押し寄せます。和田義盛が片膝を突いていいます。

「若君、一緒においでいただきましょう。御台所(みだいどころ)も」

 しかしここで木曽義仲の息子の義高が、刀を抜いて前に出るのです。

「万寿様は私がお守りいたします。あるじに刃を向ける者は、許すわけにはいかぬ」

 そこへ、手勢を率い、義時が駆けつけるのです。

「お待ちください。すでにたくらみは暴かれました。御所は守りを固めております。刀を納められよ。これ以上の争いは無駄でございます」義時は和田に呼びかけます。「石橋山の戦いに敗れ、先がないところまで追いつめられた時、あなたはいわれた。我らは源氏のために戦っているのではない。これからは坂東武者の意地にかけて、平家を倒すのだと」

 木曽義仲法皇を人質に、京を手中に治めた、との情報に、和田の心は動きます。そういうことならばいたしかたない、と、皆に刀を収めるようにいうのです。

「小四郎、よう気張った」

 と、義時をほめさえします。

 義時は御家人の集合する中に乗り込みます。

「無駄死にするだけです」

 上総広常が発言してくれます。

「これまでということだな、小四郎」

「無念じゃ」

 と、千葉が座り込み、脇差しを抜き出します。

「よさねえかじいさん」

 と、上総広常が止めます。千葉は聞きません。

「すべてわしが考えたこと、わし一人の首でおさめる」

 三浦義村山本耕史)が千葉の脇差しを取りあげます。義時が話します。

「鎌倉殿は、兵を引けばすべて許すとおおせられました。御家人あってのご自分であることを、よく分かっておいでです」

 上総広常がいいます。

「あとは小四郎に任せよう。そうと決まったら、解散だ」

 頼朝は今回の乱に加わった者たちの名を見て、改めて驚きます。

「こんなにおるのか」

 比企能員がいいます。

「奴らは御所に攻め寄せるつもりだったのだぞ。厳罰に処さねば、示しがつきませぬ」

 義時が発言します。

「考えがあります。平家を倒した暁には、その所領を御家人たちに分配すると約束なさるのです。皆、我先にといくさに向かうはず」

 大江広元がいいます。

「しかしながら、やはり御家人たちが何一つおとがめなしというのでは、示しが付きません」

「それもそうだ」

 と、頼朝が同意します。

「この際、誰か一人に見せしめとして罪を負わせるというのはいかがでしょう」

「誰かに死んでもらうと」

 義時が抗議します。

「お待ちください。一人を選んで首をはねるなど、馬鹿げております」

「やはりあの男しかおらんだろう」 

 と、頼朝がいいます。大江がその名を口にします。

上総介広常殿」

 義時はあっけにとられます。実は頼朝は、上総広常を排除する機会をうかがっていたのです。あえて謀反に加担させ、責めを負わせる。頼朝は今回の事件を利用したのでした。御家人たちを御所に集め、皆の前で斬り捨てることにします。討ち手に梶原景時を選びます。

 御所に御家人たちが集められます。梶原景時は、上総広常をすごろくに誘います。上総がよそ見をした瞬間、梶原は、息子が持つ刀を抜き出して斬りつけます。皆が驚く中、梶原が呼ばわります。

上総介広常は、法皇様、並びに、鎌倉殿にたてついた大悪人なり。御所に攻め入り、鎌倉殿を亡きものにせんとたくらんだ。その咎(とが)によって、ここに成敗いたす」

 上総介は、一刀では死にませんでした。義時に声を掛け、頼朝の前に膝を突きます。上総介は、梶原に背中から貫かれるのでした。頼朝は皆に宣言します。

「謀反人、上総介広常を成敗した。残党を討ち、その所領は一堂に分け与えよう。西にはさらに多くの所領がある。義仲を討ち、平家を討ち、おのれの力で我が物にせよ。今こそ天下草創(そうそう)の時」頼朝は御家人たちを見回します。「わしに逆らう者は何人(なんぴと)も許さん。肝に銘じよ」

 御家人たちは声をあげるのでした。

 義時は、父、時政の館にやって来ます。預けていた妻の八重が、子を産んでいました。