日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

頼迅庵の歴史エッセイ12

柳生久通のキャリア(6) ○ 柳生久通の勤務状況等(後編) 柳生久通の仕事ぶりが『よしの冊子』という本に出てきます。68頁では、綿密丁寧だと噂していますが、決して褒めているわけではなさそうです。裁許(白州での判決言い渡しだと思いますが)の際に狼狽…

『映画に溺れて』第118回 マチェーテ

第118回 マチェーテ 平成二十三年四月(2011)新橋 新橋文化 ダニー・トレホの名前は知らなくとも、一度見たら忘れられないその面構え、悪役に欠かせない顔である。 最初にトレホの印象が強く残ったのが『コンエアー』だった。囚人たちを飛行機で護送…

『映画に溺れて』第117回 プラネット・テラー

第117回 プラネット・テラー 平成二十年三月(2008)新橋 新橋文化 新橋文化が好きだった。新橋駅すぐのガード下にあって、アクション、ミステリ、SF、ホラーなど主にB級といわれるような娯楽作品を低料金二本立てで週替わりに上映していた。 映画…

『映画に溺れて』第116回 アイドル・ハンズ

第116回 アイドル・ハンズ 平成十一年十一月(1999)銀座 ソニーハイビジョンシアター 以前、銀座のソニービルで劇場未公開映画を無料で観せてくれるハイビジョンシアターというのがあって、何度か行ったことがある。そこで観たオカルトコメディの『…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第28回 走れ大地を

田畑政治(阿部サダヲ)の発案にて、日米水上競技(水泳)大会が開催されます。場所は東京の神宮プール。一万三千人を収容できるスタンド席は超満員。そして日本チームはアメリカに圧勝してしまうのです。 しかし田畑はこの結果に満足しません。本番のオリン…

『映画に溺れて』第115回 ゾンビーノ

第115回 ゾンビーノ 平成二十四年六月(2012)新橋 新橋文化 ゾンビ映画も数々あるが、ゾンビの実用化を考えたのがこの映画。 時代背景は男女の服装、髪型、走る自動車、家庭内の電化製品などから、一九五〇年代頃のアメリカ中流家庭を思わせる。 宇…

『映画に溺れて』第114回 アナと世界の終わり

第114回 アナと世界の終わり 令和元年六月(2019)新宿 新宿武蔵野館 青春学園もので、ミュージカルで、しかもゾンビ映画。このアイディアだけでうれしくなるが、なによりもミュージカルとして出来がいい。 アナは高校生だが、卒業後は大学には進学せ…

『映画に溺れて』第113回 ゾンビランド

第113回 ゾンビランド 平成二十三年二月(2011)新橋 新橋文化 とはいえ、私はゾンビ映画はそんなに好きというわけでもない。が、ジャンルでひとくくりにして、否定するのはもったいない。ゾンビでもオカルトでもホラーでも面白い作品はけっこうある…

『映画に溺れて』第112回 キツツキと雨

第112回 キツツキと雨 平成二十四年三月(2012)新宿 角川シネマ新宿 世間では、ゾンビ映画というだけで、頭から馬鹿にする人が多い。が、ゾンビであろうと、純愛ものであろうと、社会派であろうと、作っている人の情熱や真面目さに違いはない。『カ…

『映画に溺れて』第111回 カメラを止めるな!

第111回 カメラを止めるな! 平成三十年八月(2018)日本橋 TOHOシネマズ日本橋 平成三十年の映画界、一番の話題は、なんといっても『カメラを止めるな!』の大ヒットだったろう。どこへ行っても、この話で持ち切りで、ふだん、あまり映画を観な…

『映画に溺れて』第110回 知らなすぎた男

第110回 知らなすぎた男 平成十年十一月(1998)新宿 シネマカリテ2 スパイコメディはけっこう好きだが、『知らなすぎた男』は中でも特に凝っていて、好きな作品である。が、『オースティン・パワーズ』ほどヒットせず、小さい映画館で地味に公開さ…

頼迅庵の歴史エッセイ11

11 柳生久通のキャリア(5) ○ 柳生久通の勤務状況等(前編) 久通は天明 7 年 9 月 27 日に北町奉行に就任します。43 歳でした。天明8年9月10日に勘定奉行へ移動となるまで、およそ1年間北町奉行を務めることとなります。 この人事が左遷であったことは、4…

『映画に溺れて』第109回 オースティン・パワーズ

第109回 オースティン・パワーズ 平成十年八月(1998)渋谷 シネセゾン渋谷 六十年代は007がヒットして、スパイ映画が大流行だった。パロディもたくさん生まれたが、『オースティン・パワーズ』はその六十年代のスパイが現代(九十年代)に甦ると…

今週の「いだてん 東京オリムピック噺」は選挙速報によりお休みです。

『映画に溺れて』第108回 007は二度死ぬ

第108回 007は二度死ぬ 昭和四十二年八月(1967)大阪 千日前 スバル座 007の読み方は今はダブルオーセブンだが、私が子供の頃はゼロゼロナナだった。早川のポケミスで出ているイアン・フレミングの原作は『007号は二度死ぬ』で、わざわざ号…

『映画に溺れて』第107回 青春銭形平次 天晴れ一番手柄

第107回 青春銭形平次 天晴れ一番手柄 平成十二年二月(2000)渋谷 ユーロスペース1 岡本綺堂はシャーロック・ホームズをお手本に、幕末の江戸の風俗を描いた『半七捕物帳』を世に出した。 以後、町奉行所の手先である御用聞きを主人公とした捕物帳…

落語中興の祖・三遊亭圓朝ゆかりの「幽霊画展」開催(8/1〜)

『幽霊画展』のご案内 東京・谷中にある全生庵では、2019年8月1日(木)より31日(土)まで、谷中圓朝まつり「幽霊画展」を開催します。 江戸末期から明治にかけて活躍し、「牡丹燈籠」「真景累ケ淵」「死神」など、多くの名作落語を創作した落語中興の祖・三遊…

『映画に溺れて』第106回 迷探偵シャーロック・ホームズ最後の冒険

第106回 迷探偵シャーロック・ホームズ最後の冒険 平成二年七月(1990)銀座 シャンゼリゼ シャーロック・ホームズが活躍する物語は、その大半がワトスンの手記という体裁で発表されている。つまり、事件を記録しているのは、常にいっしょに行動して…

『映画に溺れて』第105回 新シャーロック・ホームズおかしな弟の冒険

第105回 新シャーロック・ホームズおかしな弟の冒険 昭和五十四年八月(1979)大阪 堂島 毎日文化ホール シャーロック・ホームズにマイクロフトという兄がいるのはよく知られている。ホームズ以上に頭が切れ、あまり活動的ではなく、政府の特殊な職務…

『映画に溺れて』第104回 シャーロック・ホームズ シャドウゲーム

第104回 シャーロック・ホームズ シャドウゲーム 平成二十四年一月(2012)西新橋 ワーナーブラザース試写室 世界でもっとも有名な探偵といえば、シャーロック・ホームズで、その名前は、おそらく、本を読んだことのない人でも知っている。 アーサー・…

『映画に溺れて』第103回 オリビアちゃんの大冒険

第103回 オリビアちゃんの大冒険 平成元年八月(1989)新宿歌舞伎町 シネマミラノ ディズニーアニメにもちゃんとシャーロック・ホームズが登場する。『白雪姫』『ダンボ』『シンデレラ』『不思議の国のアリス』『わんわん物語』『眠れる森の美女』『…

『映画に溺れて』第102回 シャーロック・ホームズの素敵な挑戦

第102回 シャーロック・ホームズの素敵な挑戦 昭和五十二年四月(1977)大阪 梅田 三番街シネマ2 ニコラス・メイヤーの小説『シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険』はワトスン医師の未発表の手記が発見されたという形式で、『最後の事件』の真相が…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第27回 替り目

三回のオリンピックに出場した金栗四三(中村勘九郎)は、三八歳になっていました。東京に兄の実次(中村獅童)がやってきます。東京で実次と会うのは何年ぶりだろう、と四三は問います。ストックホルム・オリンピックの旅費を実次が届けに来た以来ですから…

新書専門書ブックレビュー4

『戦乱と民衆』 戦乱と民衆 (講談社現代新書) 作者: 磯田道史,倉本一宏,フレデリック・クレインス,呉座勇一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/08/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る 本作は2017年10月に国際日本文化研究センター(日…

『映画に溺れて』第101回 シャーロック・ホームズの冒険

第101回 シャーロック・ホームズの冒険 昭和四十九年十月(1974)神戸 三宮 ビック映劇 世にシャーロック・ホームズ好きはたくさんいて、ホームズ好きになったきっかけを聞くと、たいていの人は子供の頃、学校の図書室、図書館などで子供向きのホーム…

『映画に溺れて』第100回 モンティ・パイソン&ナウ

第100回 モンティ・パイソン&ナウ 昭和五十五年二月(1980)渋谷 西武劇場 TVで『モンティ・パイソン』が放映されたのは、私の学生時代、七十年代の半ばで、英国のオリジナル版に日本独自の解説とおまけが付け加えられていた。解説は今野雄二で、…

『映画に溺れて』第99回 アイ・フィール・プリティ

第99回 アイ・フィール・プリティ 平成三十年十一月(2018)六本木 アスミックエース試写室 エイミー・シューマー主演作では、これより一年前のちょっと下品なセックスコメディ『エイミーエイミーエイミー』も面白かったが、『アイ・フィール・プリテ…

『映画に溺れて』第98回 誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう

第98回 誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう 昭和五十六年五月(1981)池袋 文芸坐 池袋の文芸坐で『アニー・ホール』を観たとき、二本立てのもう一本がこれだった。 アートシアターの『ボギー俺も男だ…

『映画に溺れて』 第97回 アニー・ホール

第97回 アニー・ホール 昭和五十六年五月(1981)池袋 文芸坐 僕を簡単に入会させてくれるようなクラブの会員にはなりたくない。すんなり受け入れてくれる女より、振られた女に強い未練が残る。 ウディ・アレンの分身のようなインテリ芸人アルビー・シ…

『映画に溺れて』第96回 ゴッド・ブレス・アメリカ

第96回 ゴッド・ブレス・アメリカ 平成二十四年八月(2012)渋谷 シネマライズ 主人公フランク。温厚で善良な中年男だが、妻と離婚し、ひとり暮らし。不快な隣人の大音響のTVで、ストレスと睡眠不足。長年勤めた会社を突然解雇され、偏頭痛がするの…