日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

2022-01-01から1年間の記事一覧

第480回 MINAMATA-ミナマタ-

第480回 MINAMATA-ミナマタ- 令和四年二月(2022)飯田橋 ギンレイホール ジョニー・デップといえば、ハサミ男シザーハンズ、カリブの海賊、不思議の国の帽子屋、女装のB級映画監督、インディアンのトント、夢のチョコレート工場主、といった…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第9回 決戦前夜

源頼朝(大泉洋)が畠山重忠(中川大志)と和田義盛(横田栄司)に命じます。 「伊東祐親(すけちか)(浅野和之)を召し捕って参れ。手向かいすればその場で斬り捨てて構わん」 北条義時(小栗旬)と三浦義村(山本耕史)は畠山と和田に先行しようと、馬を…

訃報のお知らせ

顧問の大谷羊太郎先生が旅立たれました。 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 【#訃報】突然で恐縮ですが 大谷羊太郎(本名:一夫)儀 病気療養中のところ2月28日早朝 肺炎にて91年の生涯を静かに閉じましたここに生前のご厚誼に衷心より感謝し 謹んでお知…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第8回 いざ、鎌倉

平清盛(松平健)が、声を荒げて息子の宗森(小泉孝太郎)にいいます。 「追討軍はまだ出立(しゅったつ)しておらんのか」 「明後日の朝、京を発つ手はずでございます」 清盛は立ち上がります。 「今まで何をしておった」 「旧例にのっとり、必勝の吉日を選…

『映画に溺れて』第479回 デジャヴ

第479回 デジャヴ 平成十九年三月(2007)有楽町 日劇1 謝肉祭で沸くニューオーリンズ。港の大型フェリーに乗り込む人たち。海軍の水兵とその家族が船客の大半を占めている。この楽し気な雰囲気が次になにかが起こりそうな不吉な予感につながって……。娯…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第7回 敵か、あるいは

平清盛(松平健)は幽閉されている後白河法皇(西田敏行)を訪ねていました。 「大庭景親によれば、源頼朝は謀反(むほん)の兵を挙げ、伊豆の目代(もくだい)の首をとった由(よし)にございます」と、清盛は語ります。「その後の頼朝は、恐れ多くも、政(…

『映画に溺れて』第478回 イルマーレ

第478回 イルマーレ 平成十八年九月(2006)新宿歌舞伎町 ミラノ座 韓国映画のハリウッドリメイク。オリジナルが未見のため比較はできないが、どこから見てもハリウッド映画になっている。 別の年代に通じる郵便受けで別の年代の人物がやりとりするとい…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第6回 悪い知らせ

自軍が敗北し、頼朝(大泉洋)は石橋山の洞窟に隠れていました。 大庭勢が頼朝を探しています。梶原景時(中村獅童)は、頼朝の一行を発見します。しかしそれを見逃すのでした。 北条時政(坂東彌十郎)と義時(小栗旬)の父子は、救援を求めに、甲斐の武田…

『映画に溺れて』第477回 NEXT-ネクスト-

第477回 NEXT-ネクスト- 平成二十年五月(2008)新宿歌舞伎町 新宿ジョイシネマ2 全身が黄金色に輝く新種の人類が誕生、超越した能力で人類にとって代わることを恐れた政府が抹殺しようとして裏をかかれる。というのがフィリップ・K・ディックの…

『映画に溺れて』第476回 フェイス/オフ

第476回 フェイス/オフ 平成十年六月(1998)三軒茶屋 三軒茶屋シネマ FBIの捜査官とテロリストが入れ替わる『王子と乞食』の現代版のようなストーリー。これが派手な追跡、銃撃、爆発シーンの連続で展開される。 生真面目な捜査官がジョン・トラボ…

書評『義時 運命の輪』

書 名 『義時 運命の輪』 著 者 奥山景布子発 売 集英社発行年月日 2021年11月25日 義時 運命の輪 (集英社文庫) 作者:奥山 景布子 集英社 Amazon 鎌倉幕府を開いた源頼朝の義弟で、執権にまで昇りつめ幕政を牛耳った北条義時(1163~1224)には様々な…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第5回 兄との約束

北条宗時(片岡愛之助)率いる軍勢が、伊豆の実力者である、堤信遠(吉見一豊)の館を襲います。北条の館に火が上がるのを見て、源頼朝(大泉洋)がいいます。 「もう、もうあとには引けぬ」 北条時政(坂東彌十郎)と、北条義時(小栗旬)は、堤信遠を討ち…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第4回 矢のゆくえ

挙兵の日は、8月17日と決まりました。その日は三島明神の祭りに当たっていました。北条宗時(片岡愛之助)がいいます。 「まず、父上と私が率いる先陣が、目代(もくだい)、山木兼隆(やまきかねたか)の館を襲う。火を放ち、これをもって平家討伐、関東挙…

『映画に溺れて』第475回 エネミー・オブ・アメリカ

第475回 エネミー・オブ・アメリカ 平成十一年四月(1999)渋谷 渋東シネタワー2 二十世紀末、コンピューターは市民生活の隅々にまで浸透し、電話やインターネットによる通信、各所の防犯監視カメラ、個人の銀行口座まで管理している。 国家保安局幹部…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第3回 挙兵は慎重に

都に激震が走りました。平清盛が、後白河法皇を幽閉したのです。清盛は自分の孫を帝(みかど)に即位させました。安徳天皇です。この時、一歳と三ヶ月でした。 その頃、伊豆では、頼朝(大泉洋)を婿に迎えた北条家に、都の不穏な気配が忍び寄っていました。 治…

『映画に溺れて』第474回 ブルー・ストリーク

第474回 ブルー・ストリーク 平成十二年四月(2000)新橋 新橋文化 宝石泥棒が意に反して有能な刑事になるというマーティン・ローレンス主演の犯罪コメディ。 仲間とともに厳重な警備を破って二千万ドルの巨大ダイヤモンドを盗み出したマイルズ、その直…

書評『仁王の本願』

書名『仁王の本願』 著者 赤神諒発売 角川書店発行年月日 2021年12月22日定価 ¥1800E 仁王の本願 作者:赤神 諒 KADOKAWA Amazon 加賀(かが)一向一揆(いっこういっき)のなか仁王隊(本願寺最強の鉄砲衆)を率い孤高の戦いを続けた本願寺の坊官(本願寺領を守る…

『映画に溺れて』第473回 ラッキーナンバー7

第473回 ラッキーナンバー7 平成十九年五月(2007)飯田橋 ギンレイホール 警察官役の多いブルース・ウィリスだが、殺し屋もまたよく似合う。『ジャッカルの日』のリメイク『ジャッカル』やコメディ『隣のヒットマン』はヒットした。 やはりウィリスが…

『映画に溺れて』第472回 第三の男

第472回 第三の男 平成二年三月(1990)三鷹 三鷹オスカー 見事な映画であり、あまりにも有名な作品である。 モノクロ映像の美しさ、巧みなストーリー展開、絵になるスターたち。そして、なによりも全編に流れるチターの名曲。この映画を観たことがない…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第2回 佐殿(すけどの)の腹

北条の館に、伊東の軍勢が、源頼朝(佐殿)(大泉洋)を引き渡すように迫ってきていました。伊東の当主である、伊東祐親(いとうのすけちか)(浅野和之)が叫びます。 「これ以上にらみ合っても無駄じゃ。後は力尽くで頼朝を奪い取るのみ」 それに対して、北条の当…

『映画に溺れて』第471回 偶然と想像

第471回 偶然と想像 令和三年十月(2021)渋谷 映画美学校試写室 洒落た短編小説を読むような面白さ。三つの短編によるオムニバスである。こんな偶然ありえない、と思うようなことがごく自然に納得できる形で起きてしまうのが映画の魔法なのだ。それは完…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第一回 大いなる小競り合い

北条義時(小四郎)(小栗旬)が、後ろに女性を乗せて、馬で駆けています。三人の騎馬武者がそれを追います。 「姫、振り落とされないように気をつけて」 と、義時は後ろの女性に声をかけます。義時は前方に立ちふさがる武者たちを避け、森に逃げ込みます。 安政…

書評『黒白の一族』

書 名 『黒白の一族』 著 者 明野照葉発行所 光文社発行年月日 2021年12月30日定 価 ¥1800E 黒白の一族 作者:明野照葉 光文社 Amazon あなたの住む町に、相当の変わり者の一族が住み着いて、あなたがた住民を巻き込み、街そのものを変えようとする事態とな…

『映画に溺れて』第470回 浜の朝日の嘘つきどもと

第470回 浜の朝日の嘘つきどもと 令和三年十二月(2021)飯田橋 ギンレイホール 私は映画が好きであり、映画は映画館で観たい。映画館が大好きなのだ。だが、近頃は家庭用の大型TVが普及し、DVDやネット配信も充実し、映画館へ全然行かない映画ファ…

『映画に溺れて』第469回 ベル・エポックでもう一度

第469回 ベル・エポックでもう一度 令和三年十二月(2021)飯田橋 ギンレイホール タイムトラベルサービス。客が好きな時代を選んで時間旅行。ただし、SFではなく、タイムマシンも仮想現実も出てこない。撮影所のセットと衣装や小道具を使い、無名俳優…

書評『黛家の兄弟』

書名『黛家の兄弟』 著者 砂原浩太朗発売 講談社発行年月日 2022年1月13日定価 ¥1800E 黛家の兄弟 作者:砂原 浩太朗 講談社 Amazon 砂原浩太朗(昭和44年生まれ、兵庫県神戸市出身)は、描きつくされた感のある戦国史を繊細極まる文体で全く新たに描…