日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『映画に溺れて』第179回 アラジン

第179回 アラジン 令和元年六月(2019)新所沢 レッツシネパーク ディズニー映画がかつてのアニメーションを次々と有名スターで実写化している。 私の記憶では、最初は『101匹わんちゃん大行進』の実写版だったろうか。アニメ版は小学生のときで、…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第37回 最後の晩餐

元は朝日新聞記者で今は議員の河野一郎(桐谷健太)が、国会で発言していました。「一触即発の日中関係と平和の祭典。国防費のためにと、国民に我慢と緊張を求める一方で、オリンピックというお祭りを開催するという。この相反する二つに対して、国民に説明…

明治一五一年 第5回

明治一五一年 第5回 森川 雅美 波が立っている延々と繰り返し波が立っているアメリカ東部ノーフォークから出港した黒船の甲板に立つ一人の水夫が闇に光る灯りを見詰め琉球の文書が波間に沈んでいき伸ばす手もなくより遠い海上に歪みいく風の行方を聞きなが…

『映画に溺れて』第178回 マーウェン

第178回 マーウェン 令和元年七月(2019)日比谷 TOHOシネマズシャンテ 第二次大戦中、ベルギー上空を飛行中のアメリカ軍人ホーギー大佐はナチスの砲弾によって撃ち落され、川に不時着するも、敵兵に囲まれ絶対絶命。そこへ武装した五人の美女が…

『映画に溺れて』第177回 ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

第177回 ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 令和元年六月(2019)新所沢 レッツシネパーク ハリウッド版のゴジラ映画は一九九八年にローランド・エメリッヒ監督の『GODZILLA』、二〇一四年にギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』が公開さ…

『映画に溺れて』第176回 居眠り磐音

第176回 居眠り磐音 令和元年六月(2019)武蔵村山 イオンシネマ 雑誌に連載された小説が単行本として出版され、やがて文庫化される。というのが、かつての出版の流れだった。それがいきなり最初から文庫本で出る、いわゆる文庫書下ろしの時代小説。…

飯島一次さんの講演

毎回ご好評をいただいている飯島一次先生の江戸シリーズ第4弾。ご自身も時代小説作家である飯島先生から、江戸時代のちょっとした雑学やウンチク、背景となった地の紹介など、時代小説が一層楽しくなること間違いなしのお話をしていただきます。今回もどうぞ…

『映画に溺れて』第175回 僕たちのラストステージ

第175回 僕たちのラストステージ 令和元年五月(2019)舞浜 シネマイクスピアリ サイレント時代のチャップリンやキートンは何度かリバイバル上映で観る機会があったのだが、一九三〇年代のハリウッドで大人気だった極楽コンビのローレルとハーディの…

『映画に溺れて』第174回 ビリーブ 未来への大逆転

第174回 ビリーブ 未来への大逆転 平成三十一年三月(2019)青山 ギャガ試写室 アメリカ映画を観ていて、すごいと思うのは、時代色を徹底して出していること。まるでタイムマシンを使ってあの時代に戻ったように、町の風景、走る自動車、屋内のセット…

企画展情報など……

本多正純公 400年以上続くオビシャとは

『映画に溺れて』第173回 ブラック・クランズマン

第173回 ブラック・クランズマン 令和元年七月(2019)高田馬場 早稲田松竹 黒人を差別し、迫害し、ときには見せしめとしてリンチで惨殺する。白人至上主義者の団体KKK。 ブラックパワーが叫ばれ始めた一九七〇年代初頭、アフロヘアーの黒人青年が…

書評『義元、遼たり』『氏真、寂たり』

書名『義元、遼たり』著者 鈴木英治 定価 1800円書名『氏真、寂たり』著者 秋山香乃 定価 1900円発売 ともに 静岡新聞社出版部発行年月日ともに 2019年9月20日 義元、遼たり 作者: 鈴木英治 出版社/メーカー: 静岡新聞社 発売日: 2019/09/20 メディア: …

『映画に溺れて』第172回 運び屋

第172回 運び屋 平成三十一年二月(2019)西新橋 ワーナーブラザース試写室 私が映画館で初めてクリント・イーストウッドを観たのは、中学生のとき、作品はイタリアの西部劇『続・夕陽のガンマン』だった。次が大学に入る前、浪人時代に観た『ダーテ…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第36回 前畑がんばれ

ベルリン・オリンピックにて平泳ぎに出場する前畑秀子(上白石萌歌)。眠ることが出来ず、夜のプールで泳いでいました。そこへやってきた田畑政治(阿部サダヲ)は「がんはれ」と前畑を励まします。「がんばれ、なんて言わんといてください」前畑は田畑に怒…

『映画に溺れて』第171回 翔んで埼玉

第171回 翔んで埼玉 平成三十一年一月(2019)銀座 東映試写室 昔から落語や喜劇などで田舎を笑いものにする芸はよくあるが、演者が下手だと後味は悪い。 が、ここまで極端だと、それはもう地方に対する差別などという些末な感情を超越して、笑ってし…

『映画に溺れて』第170回 リヴァプール、最後の恋

第170回 リヴァプール、最後の恋 平成三十一年一月(2019)六本木 キノフィルム試写室 シェイクスピア映画ではないが、『ロミオとジュリエット』がちらりと出て来る実録もの。 一九七九年、イギリスで舞台俳優を目指す青年ピーターがひとりの女優と出会…

『映画に溺れて』第169回 生きるべきか死ぬべきか

第169回 生きるべきか死ぬべきか 平成元年七月(1989)渋谷 シネセゾン 第二次大戦中、ハリウッドではナチスを茶化すコメディ映画、チャップリンの『独裁者』やエルンスト・ルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』が作られていたが、日本はアメリカと…

『映画に溺れて』第168回 世にも憂鬱なハムレットたち

第168回 世にも憂鬱なハムレットたち 平成八年十二月(1996)日比谷 シャンテシネ3 鳴かず飛ばずの俳優ジョーが心機一転、俳優生命を賭けて『ハムレット』に挑戦しようとする。渋るエージェントに頼み込んで、わずかな資金を出してもらい、オーディショ…

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『映画に溺れて』第167回 恋に落ちたシェイクスピア

第167回 恋に落ちたシェイクスピア 平成十一年五月(1999)錦糸町 リッツ劇場 シェイクスピアの生没年は一五六四年から一六一六年で、実は私、他の人の生没年は知らなくとも、シェイクスピアだけは知っている。シェイクスピア劇には殺人場面がたくさ…

トークショー&サイン会のお知らせ

八重洲ブックセンターにてサイン会開催致します! 歴史時代作家クラブ賞から衣替えした、新生・第1回日本歴史時代作家協会賞の 記念イベントを開催いたします。 日時:令和元年9月20日14:00~16:00 場所:八重洲ブックセンター本店8階ギャラリー 受賞作家5…

『映画に溺れて』第166回 ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

第166回 ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ 平成三年七月(1991)渋谷 シネマライズ渋谷 イギリスの劇作家トム・ストッパードに『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』という舞台劇がある。 デンマーク王が急死し、王弟クローディ…

『映画に溺れて』第165回 炎の城

第165回 炎の城 平成十四年十二月(2002)中野 中野武蔵野ホール 大久保にある東京グローブ座で市川染五郎主演の『葉武列土倭錦絵(はむれっとやまとのにしきえ)』を観たのは平成の初め頃だ。戯作者の仮名垣魯文によって翻案された歌舞伎版の『ハム…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第35回 民族の祭典

金栗四三(中村勘九郎)は、弟子の小松勝(仲野太賀)を従え、五年ぶりに東京に帰ってきました。足袋作りのハリマヤ製作所を訪ねます。四三はここの二階に十七年間下宿していたのです。ハリマヤ製作所で働く女性が一人やってきます。「シマちゃん」 と四三は…

『映画に溺れて』第164回 真夏の夜の夢

第164回 真夏の夜の夢 平成十二年四月(2000)有楽町 スバル座 妖精の世界でオーベロン王が女王と仲違い、オーベロンは妖精パックに惚れ薬で女王をひどい目に合わせるよう命じる。 パックは森で芝居の稽古をしている職人たちを脅かし、機織りのボトム…

『映画に溺れて』第163回 十二夜

第163回 十二夜 平成十年八月(1998)飯田橋 ギンレイホール シェイクスピアには男女の双子の子供があったそうだ。だからこの芝居を思いついたのだろうか。 双子が乗っている船が難破し、助かった妹ヴァイオラは男装し、縁あって貴族オーシーノ侯爵に…

『映画に溺れて』第162回 ヴェニスの商人

第162回 ヴェニスの商人 平成十七年十一月(2005)新宿 高島屋テアトルタイムズスクエア 水の都ヴェニスの商人アントーニオは親友バッサーニオの結婚資金を用立てるため、嫌われ者の高利貸しシャイロックから借金する。利息はいらないが、もしも期日…

『映画に溺れて』第161回 マクベス

第161回 マクベス 昭和四十八年十月(1973)大阪 梅田 梅田地下劇場 初めて観たシェイクスピア映画がポランスキーの『マクベス』であったのは、なんとも幸運だった。最初にオリビエの『ハムレット』を観ていたら、私はシェイクスピアを好きになったか…

頼迅庵の新書専門書ブックレビュー6

◯ ブックレビュー6 『ハーバードの日本人論』(佐藤智恵、中公新書ラクレ) ハーバードの日本人論 (中公新書ラクレ 658) 作者: 佐藤智恵 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2019/06/06 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る ハーバード大学は、ア…

『映画に溺れて』第160回 エド・ウッド

第160回 エド・ウッド 平成七年十月(1995)日比谷 シャンテシネ3 どんな世界にも頂点を極める一流の人物がいれば、そこそこに活躍する中堅がいて、さらに底辺で仕事をしているさほど有名でない人たちがいる。もちろん、彼らはみんなそれなりにプロ…