日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2019-01-01から1年間の記事一覧

『映画に溺れて』第225回 コンゴ

第225回 コンゴ 平成八年一月(1996)池袋 文芸坐 マイケル・クライトンの小説『失われた黄金都市』もまた、映画化よりも翻訳を先に読んだ。アメリカの通信衛星企業がレーザー光線に使うためのダイヤモンドをアフリカのコンゴで調査中、先行の調査隊…

『映画に溺れて』第224回 13ウォーリアーズ

第224回 13ウォーリアーズ 平成十二年二月(2000)有楽町 ニュー東宝シネマ1 マイケル・クライトンの『北人伝説』は早川書房から翻訳が出されたとき、すぐに読んだ。とても好きな小説だが、なかなか映画化はされなかった。そして、ようやく公開さ…

『映画に溺れて』第223回 ジュラシックパーク

第223回 ジュラシックパーク 平成五年七月(1993)日比谷 日比谷映画 コンピュータグラフィックスの進歩はすごい。初めて『ジュラシックパーク』を観たときはほんとに驚いた。様々な種類の恐竜たちが動き回っているのだ。ハリーハウゼンのときのコマ…

『映画に溺れて』第222回 ウエストワールド

第222回 ウエストワールド 昭和四十九年一月(1974)大阪 梅田 OS劇場 当時、日本にはまだディズニーランドはなかったが、この映画はディズニーランドを思わせる遊園地を題材にしている。 近未来、ロボット工学が進歩して、人間そっくりのロボット…

『映画に溺れて』第221回 アンドロメダ…

第221回 アンドロメダ… 昭和四十六年九月(1971)大阪 道頓堀 松竹座 マイケル・クライトンの出世作『アンドロメダ病原体』は日本でもベストセラーとなった。映画は思ったよりもショッキングな出だしで、宇宙から帰還したカプセルがアメリカの田舎町…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第42回 東京流れ者

高度経済成長期の日本。暮らしぶりもずいぶんと変わってきます。冷蔵庫、テレビ、洗濯機などが家庭に普及していきます。しかし良いことばかりではありません。特に車の渋滞が問題化していました。 昭和36年(1961)です。タクシー運転手の森西栄一(角田晃広…

『映画に溺れて』第220回 ニューシネマパラダイス

第220回 ニューシネマパラダイス 平成三年三月(1991)東村山 東村山市中央公民館 映画を題材にした映画には名作が多い。中でも『ニューシネマパラダイス』は映画史上に残る名作であると思う。 ローマに住む著名な映画監督、故郷シシリアの母からの電…

『映画に溺れて』第219回 クライム&ダイヤモンド

第219回 クライム&ダイヤモンド 平成十五年一月(2003)新橋 新橋文化 映画マニアの殺し屋が主人公という趣向を凝らした犯罪コメディ。 がらがらのさびれた映画館で一心にスクリーンを見つめる毒舌ジム。上映されているのは『ティファニーで朝食を』…

『映画に溺れて』第218回 田園に死す

第218回 田園に死す 昭和五十二年八月(1977)大阪 堂島 毎日ホール 人相が悪く粗暴で下品な悪役よりも、私は知的で上品な悪役が好きだ。『十三人の刺客』で悪大名を演じた菅貫太郎は、だから大好きな俳優のひとり。悪大名、悪旗本など映画やTVの時…

『映画に溺れて』第217回 シモーヌ

第217回 シモーヌ 平成十六年一月(2004)飯田橋 ギンレイホール 舞台はハリウッド、アル・パチーノふんする売れない映画監督タランスキーはわがまま女優にふりまわされて、なかなか作品が完成せず、とうとう元妻のプロデューサーから契約を打ち切ら…

書評『島津三国志』

書名『島津三国志』著者 井川香四郎発売 徳間書店発行年月日 2019年9月30日定価 ¥2500E 島津三国志 (文芸書) 作者: 井川香四郎 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2019/09/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 書名に刻まれた「三国志」の意…

『映画に溺れて』第216回 ドット・ジ・アイ

第216回 ドット・ジ・アイ 平成十六年十一月(2004)飯田橋 ギンレイホール ガエル・ガルシア・ベルナルとナタリア・ヴェルベケの共演したスペイン映画。 実はこの映画、観るまで、全然興味なかった。ただの恋愛映画だろうと思って。飯田橋ギンレイホ…

『映画に溺れて』第215回 サリヴァンの旅

第215回 サリヴァンの旅 平成六年六月(1994)銀座 テアトル西友 銀座のテアトル西友で開催されたプレストン・スタージェス祭。その中で一番気に入ったのが『サリヴァンの旅』である。アメリカがまだ不況の一九四一年の作品。 主人公のサリヴァンは著…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第41回 おれについてこい

昭和34年(1959)。東京にオリンピックがやってくることが決まり、日本は祝福ムードに包まれていました。 敗戦から立ち上がり、ついに田畑政治(阿部サダヲ)は夢を叶えました。国立競技場にほど近い、古い洋館に、組織委員会事務局を開設しました。田畑は事…

『映画に溺れて』第214回 ザ・プレイヤー

第214回 ザ・プレイヤー 平成七年七月(1995)高田馬場 早稲田松竹 ハリウッドの映画界を舞台にした虚実ないまぜの出世競争劇。ティム・ロビンスふんするシナリオ担当重役グリフィンが謎の人物から絵葉書で脅迫される。「あとで連絡すると言ったくせ…

『映画に溺れて』第213回 サンセット大通り

第213回 サンセット大通り 昭和六十二年二月(1987)新宿 コマ東宝 ハリウッドの映画業界を描いた映画はたくさんあるが、中でも私が一番好きなのがビリー・ワイルダー監督の『サンセット大通り』だ。 プールに男の死体が浮かんでいる。そこからナレー…

『映画に溺れて』第212回 ラスト・ムービースター

第212回 ラスト・ムービースター 令和元年九月(2019)新宿 シネマカリテ バート・レイノルズの遺作にして、最後を飾る傑作である。彼が演じるヴィック・エドワーズはかつてのハリウッド大スター。数々のアクション映画に主演し、多くのファン、とく…

明治一五一年 第6回

明治一五一年 第6回 はじまりの足どりは長州やら薩摩やらはたまた水戸か土佐かなどとはや呟くいく人もの無念の生首が地面に転がり結びえない言の葉たちが無残に花開くさらに誰かの背から誰かの背へと結ぶ己か本分の忠節を守り義は山岳よりも重く死は鴻毛よ…

『映画に溺れて』第211回 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

第211回 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 令和元年九月(2019)浦和 ユナイテッドシネマ浦和 シャロン・テート事件が起こったのが一九六九年の八月。ロマン・ポランスキーの妻、妊娠中のシャロン・テートが自宅に侵入したカルト集団に…

『映画に溺れて』第210回 ロケットマンの憂鬱

第210回 ロケットマンの憂鬱 令和元年七月(2019)川口 スキップシティ多目的ホール 埼玉県川口市でおこなわれているスキップシティ国際Ⅾシネマ映画祭、デジタルによる映像作品を国内、海外から公募し、優秀作品を上映する映画祭で、二〇〇四年より開…

『映画に溺れて』第209回 古川タクのアニメおもちゃ箱

第209回 古川タクのアニメおもちゃ箱 平成十一年十月(1999)東中野 BOX東中野 うちの子供が幼い頃、NHKの幼児番組「おかあさんといっしょ」や「みんなのうた」を、私もいっしょになって、いつも見ていた。 ちょうどその頃、財津和夫の歌う『切…

『映画に溺れて』第208回 テックス・エイヴリー 笑いのテロリスト

第208回 テックス・エイヴリー 笑いのテロリスト 平成十一年八月(1999)渋谷 ユーロスペース2 一九四〇年代に活躍したテックス・エイヴリーの短編アニメ、Aプログラム十二本、Bプログラム十二本、計二十四本を渋谷のユーロスペースで上映。このと…

『映画に溺れて』第207回 幽霊VS宇宙人

第207回 幽霊VS宇宙人 平成十五年八月(2003)下北沢 シネマ下北沢 世の中には幽霊や心霊現象を信じている人がいる。宇宙人の存在を疑わない人がいる。幽霊も宇宙人も絶対にいるよ、という人もいる。どちらもいるとすれば、そのふたつが出会っても…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第40回 パック・トゥ・ザ・フューチャー

昭和34年(1959)。東京は、オリンピック招致が決まるかどうかの瀬戸際を迎えていました。 オリンピック招致委員会に、一人の男が呼ばれます。平沢和重(星野 源)。外交官を経て、NHKに入り、時事問題を15分にまとめてわかりやすく解説し、お茶の間の、特に…

『映画に溺れて』第206回 東京うんこ

第206回 東京うんこ 平成二十三年七月(2011)新宿 K‘sシネマ 奇抜なタイトルの場合、タイトルだけで観たくなる場合と、観たくなくなる場合があって、私はこの映画『東京うんこ』はそれだけで大変興味を持った。 東京は高円寺のアパートに住む若い…

『映画に溺れて』第205回 非女子図鑑

第205回 非女子図鑑 平成二十三年七月(2011)新宿 K‘sシネマ 六つの短編、オープニングを入れて七人の監督の競作である。非女子とは、女らしくない女性というような意味だろうか。 占い好きで毎日神社でおみくじを引く女子高校生、彼女はおみくじ…

三日木人さん新刊

新入会員・三日木人さんの新刊です。 著者・三日木人さんよりコメント 「この度、NHK大河ドラマ誘致推進協議会、三好長慶顕彰諸団体、徳島県人会、関連自治体等のご支援ご協力を得て『新・三好長慶伝ー龍は天道をゆく』(幻冬舎)を上梓いたしました。配本書…

『映画に溺れて』第204回 華氏119

第204回 華氏119 平成三十年十一月(2018)大阪 梅田 大阪ステーションシネマ ドナルド・トランプというのは、どうも嫌な感じで、アクションやミステリ映画では必ず悪役になるタイプである。差別主義者、金の亡者、パワハラ、セクハラ、不道徳。下…

書評『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 名月怪談』

書 名 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 名月怪談』著者名 平谷美樹発 売 大和書房発行年月日 2019年9月15日定 価 ¥680E 草紙屋薬楽堂ふしぎ始末5 名月怪談 (だいわ文庫) 作者: 平谷美樹 出版社/メーカー: 大和書房 発売日: 2019/09/12 メディア: 単行本(ソフト…

『映画に溺れて』第203回 リメンバー・ミー

第203回 リメンバー・ミー 平成三十年十月(2018)飯田橋 ギンレイホール 骸骨の扮装で人々が踊るメキシコの祭「死者の日」が題材の、ピクサー製作のディズニーアニメ。 音楽家を目指した曽曽祖父が家族を捨てて家を出て以来、曽曽祖母は靴屋を創業し…