日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

『映画に溺れて』第497回 リトルニッキー

第497回 リトルニッキー 平成十三年六月(2001)有楽町 日劇プラザ 最初の場面はバードウォッチングならぬ覗き魔。木の枝に腰掛け、窓越しに女性の着替えを覗いていた男、気づかれて落下し、そのまま落命、地獄へ真っさかさま。次々と落ちてくる死者たち…

短編小説を更新しました

夕焼け空 (平野 周) | 日本歴時協会公式ブログ2

『映画に溺れて』第496回 バロン

第496回 バロン 平成元年十月(1989)池袋 文芸坐 ミュンヒハウゼン男爵はドイツに実在した人物。架空の冒険談を面白おかしく語り、やがてその聞き書きが尾ひれをつけて出版され、世界各国で有名になった。このほら男爵を主人公にテリー・ギリアムが監督…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第24回 変わらぬ人

頼朝が巻狩りから、鎌倉に帰ってきます。 源範頼(迫田孝也)は、安達盛長(野添義弘)と話します。 「うかつでございました」安達盛長は柱に寄りかかります。「まさか生きておられたとは」 愕然として、範頼がいいます。 「私が鎌倉殿の座を狙ったと疑われ…

第495回 モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル

第495回 モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル 昭和五十五年二月(1980)渋谷 西武劇場 私は映画が大好きなので、次から次へと映画を観続けている。中にはつまらない映画もたくさんある。どんなジャンルにもそれはある。低予算のB級映画にも…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第23回 狩りと獲物

巻狩りの仕切りを任された、父の北条時政(坂東彌十郎)のもとを、義時(小栗旬)が訪ねます。 「父上、私に隠していることはございませんか」 と、外を見ながら義時は聞きます。 「何の話だ」 と、時政は応じます。義時は声をひそめます。 「曽我の兄弟。梶…

ZOOM講演会のお知らせ

「コロナ以降の出版市況 ITが編集者を変える」 日時:6月19日(日)午後3時〜 講師:永田勝久氏(小学館編集者、元徳間書店編集局長) まさにコンテンポラリーなテーマ、これからの出版界、小説界の動向を知るためにも、ぜひみなさま、参加してください。参…

『映画に溺れて』第494回 ゲットスマート

第494回 ゲットスマート 平成二十年十月(2008)新宿 新宿ピカデリー 一九六〇年代はショーン・コネリー007の全盛期で、それにあやかったスパイものがたくさん作られ、TVでも『ナポレオン・ソロ』『スパイ大作戦』『それいけスマート』などが人気だ…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第22回 義時の生きる道

妻の八重の死を知り、義時(小栗旬)はつぶやきます。 「天罰だ」 三浦義村(山本耕史)がいいます。 「そんなふうに考えるな」 夜、義時は、息子の金剛にいいます。 「父が、お前を育て上げてみせる」 子どもたちが多く暮らす義時の館に、頼朝(大泉洋)が…

書評『宗歩の角行』

書名『宗歩の角行』著者 谷津矢車発売 光文社発行年月日 2022年4月30日定価 ¥1800E 宗歩の角行 作者:谷津 矢車 光文社 Amazon 文政3年(1820)8月、天野宗歩(あまのそうほ)は5歳で大橋本家十一代大橋宗金(後の大橋宗桂(おおはしそうけい)の門…

『映画に溺れて』第493回 メル・ブルックスの大脱走

第493回 メル・ブルックスの大脱走 平成二年二月(1990)中野 中野武蔵野ホール エルンスト・ルビッチが戦時中に作った反ナチコメディ『生きるべきか死ぬべきか』が日本で公開されたのが一九八九年、が、それより早い一九八四年にリメイク版『メル・ブル…

書評『戴天』

書名『戴 天』著者 千葉ともこ発売 文藝春秋発行年月日 2022年5月10日定価 ¥1800E 戴天 作者:千葉 ともこ 文藝春秋 Amazon 開元24年(736) 大唐帝国の首都長安の西市(長安城内の西側の商業中心地) 8歳の少年二人と6歳の少女の幼馴染みが遊んでい…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第21回 仏の眼差し

義時(小栗旬)は、夕暮れの鎌倉の街を見ていました。そこへ土肥実平(阿南健治)がやって来ます。 「どうした」 と、聞く土肥に 「九郎殿のことを、考えておりました」 と、義時は打ち明けます。 「わしもじゃ。平家とのいくさの間、ずっと共にいたもんでな…

『映画に溺れて』第492回 第十七捕虜収容所

第492回 第十七捕虜収容所 令和元年八月(2019)渋谷 シネマヴェーラ 戦争映画ではあるが、戦闘場面はなく、ビリー・ワイルダー監督らしいコメディ調で描かれた捕虜収容所のクリスマスストーリーになっている。 第二次大戦末期、ドイツ国内のドナウ川の…

『映画に溺れて』第491回 シンドラーのリスト

第491回 シンドラーのリスト 平成六年三月(1994)渋谷 渋東シネタワー2 相次いで娯楽作品を世に出しヒットさせたスティーヴン・スピルバーグが作った『シンドラーのリスト』は執念の一作といえるだろう。ハリウッドの映画人にはユダヤ系が多く、スピル…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第20回 帰って来た義経

文治三年(1187)。義経は、平泉にたどり着いていました。藤原秀衡(ふじわらのひでひら)(田中泯)が義経(菅田将暉)にいいます。 「よう戻って来たな。それにしても、悔やまれる。お前を送り出したとき、もし、わしが兵を挙げておれば。天下を目指すには…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第19回 果たせぬ凱旋

頼朝(大泉洋)から鎌倉入りを拒否された義経(菅田将暉)は、京に戻っていました。義経は妻の里(三浦透子)を相手に酒を飲みます。里は自分まで帰れないことに文句をいいます。 「離縁して下さい」と、里はいいます。「あの静(しずか)(石橋静香)という…

『映画に溺れて』第490回 否定と肯定

第490回 否定と肯定 平成二十九年九月(2017)六本木 アスミックエース試写室 人は誰しも失敗する。それを反省することで同じ過ちを繰り返さずに前に進めるのだ。歴史もまた同じである。過ちをなかったことにはできない。 都合のいい事実だけを抜き出し…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第18回 壇ノ浦で舞った男

一ノ谷で破れた平家は、四国の屋島に逃げました。 範頼軍は九州に渡り、筑前に攻め込みます。平家は逃げ道を断たれます。 義経は海を渡り、平家軍に奇襲をかけます。不意を突かれた平家は、屋島を捨て、長門(ながと)の彦島に落ち延びていきます。 鎌倉では…

『映画に溺れて』第489回 戦場のピアニスト

第489回 戦場のピアニスト 平成十五年三月(2003)渋谷 渋東シネタワー2 ナチスドイツによるユダヤ人の迫害、大虐殺の事実は繰り返し映画化されているし、繰り返し語り継がれるべき題材である。 さらに欲をいえば、シナリオが練られていて、演技がすば…

第三回「江戸歴史散歩」開催のお知らせ

新型コロナパンデミックを経験して3年目に突入しますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか? どんなに気をつけていても罹患するときには罹患する。100年ぶりに感染症が世界を席巻する今回の感染症の恐ろしさです。しかしこれは人類が何度も経験し、生き残り…

『映画に溺れて』488回 顔のないヒトラーたち

第488回 顔のないヒトラーたち 平成二十七年九月(2015)京橋 テアトル試写室 私が高校生の頃、『戦争を知らない子供たち』というヒット曲があった。戦後生まれの世代が若者となり、平和の中で生きている。北山修作詞のフォークソングは一種の反戦歌だっ…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第17回 助命と宿命

源義経(菅田将暉)は、後白河法皇(西田敏行)に呼ばれ、一ノ谷の合戦についてほめられます。 鎌倉では、頼朝が側近たちに話しています。 「義仲を討った今、片付けておかねばならぬことがある。一つは、甲斐の武田信義(八嶋智人)。奴に、誰が源氏の棟梁…

『映画に溺れて』第487回 ボン・ヴォヤージュ

第487回 ボン・ヴォヤージュ 平成十七年四月(2005)飯田橋 ギンレイホール 第二次大戦時のパリ陥落を背景にしたイザベル・アジャーニ主演のコメディ。厳しい戦時下が題材ながら、エスプリたっぷりのおしゃれなウェルメイドプレイになっており、これぞフ…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第16回 伝説の幕開け

義時(小栗旬)と八重(新垣結衣)の子に、頼朝(大泉洋)は「金剛」の名を贈ります。その席には義時の父、北条時政(坂東彌十郎)の姿もありました。頼朝が時政にいいます。 「よう帰って来てくれた。おぬしが一向に戻ってくれんので、藤九郎(安達盛長)を…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第15回 足固めの儀式

源義経(菅田将暉)は木曽義仲(青木崇高)を討つために、近江国にまで来ていました。 京で義経の軍勢が迫っていることを知った義仲は、後白河法皇(西田敏行)を捕え、御所に火を放ちます。 その頃、義時(小栗旬)は、父の北条時政(坂東彌十郎)のところ…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第14回 都の義仲

出かける北条義時(小栗旬)を八重(新垣結衣)が見送ります。 「正式に夫婦(めおと)となること、鎌倉殿(源頼朝)(大泉洋)と御台所(みだいどころ)(北条政子)(小池栄子)に申し上げたいのですが」 と、義時は八重の表情をうかがいます。八重は少し…

『映画に溺れて』第486回 わが教え子、ヒトラー

第486回 わが教え子、ヒトラー 平成二十一年六月(2009)飯田橋 ギンレイホール 総統アドルフ・ヒトラーに演説の指導者がいたという事実を膨らませて、コメディ風に仕立てたのが『わが教え子、ヒトラー』である。 大戦末期、一九四四年の年末、ベルリン…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第13回 幼なじみの絆

政子(小池栄子)の父である北条時政(坂東彌十郎)が伊豆へ帰ることになります。義時(小栗旬)や政子たちの前で、時政はいいます。 「やんなっちまったんだよ。何もかもが。悔やんではおらん」 頼朝のもとへ源行家(杉本哲太)がやって来ます。行家は所領…

『映画に溺れて』第485回 ヒトラーの贋札

第485回 ヒトラーの贋札 平成二十年六月(2008)高田馬場 早稲田松竹 第二次大戦中のナチス・ドイツの犯罪は様々な映画で描かれており、とりわけユダヤ人に対する大虐殺はドキュメンタリー『夜と霧』をはじめ、スピルバーグの『シンドラーのリスト』やポ…